社会からの差別/偏見
Discrimination & Prejudice from communities
コミュニティー
2013年8月、カナダでこんな出来事がありました。
「私は、ある問題に悩まされている近隣の者です・・・」という書き出しから始まる手紙が、重度の自閉症を抱えるマックス君(当時13歳)がオンタリオ州ニューキャッスルの祖母の家にいる時に届いたのです。
書き出しは丁寧に聞こえるかもしれませんが、読み進めていると・・・
■お宅の息子さんが外で騒いでいる様子は恐ろしくて、我が家の『普通の』子どもたちがおびえてしまう。外で遊ばせたいのなら公園に行って騒げ!
■近所の家から聞こえる赤ちゃんの泣き声、音楽や犬の鳴き声なら我慢できるが、お宅の息子さんには我慢できない!
■誰が彼の面倒を見続けるの?どこの会社も彼を雇わないだろうし、女の子と付き合うこともできなければ結婚もできない
■個人的な意見ですが、(マックス君の)病気でない体の部分を医学のために提供すべきでは?彼が社会のためにできることはそれ以外にない!
■この地域から引っ越すか、それとも彼を安楽死させるか決めた方がいい。いずれの選択も私たちに平穏な暮らしをもたらしてくれることになるでしょう
・・・などといったマックス君のことを「社会的な邪魔者」のように攻撃する内容になっています。
『臓器提供』や『安楽死』という言葉は、明らかに人権侵害。信じられません。
※差出人は、「あるいらだつ母親より」という署名があるだけで不明。身の危険を感じた一家は警察に通報、刑事告発も考えている。安全を確保できるまでは近隣住民が地域ぐるみでマックス君を守り、彼が安心して地域で暮らせるような対策を考えていくといいます。
【関連/引用/参考サイト】
・「自閉症の子どもには安楽死か臓器提供しかない」 ある家族に送りつけられたあまりに残酷な「ヘイトレター」
・自閉症の息子を侮辱された母親の反応が素晴らしいと話題/世界に拡散&多くの人が怒りをあらわに
学校/障害者福祉施設
一般人だけでなく、あろうことか、理解を示さなければいけないはずの「教師・サポートワーカー」であっても、「差別的暴言・体罰・虐待」などの問題行為もニュースで取り上げられています。
当時、職員や親から再三の訴えがあったのに、学校から県に報告が上がるまで半年もかかり、ようやく県教育委員会は体罰を認めて女性教諭を減給の懲戒処分。のちに、埼玉県警が暴行容疑で書類送検しましたが、「裏付けがはっきり取れなかった」として嫌疑不十分、2011年9月に児童1人の足を蹴った事件については事実と認定したものの「起訴するほどではない」と判断して起訴猶予処分に。
【関連/引用/参考サイト】
・支援学校教諭を体罰で書類送検 埼玉、男児2人に暴行容疑--日本経済新聞
・三郷特別支援学校暴行事件、教諭を不起訴に:埼玉 | きょういくブログ
・知的障害児の教員による虐待事件裁判の報告--弁護士杉浦ひとみの瞳
厚生労働省の省令では、入所者がけがをした場合、県や家族に報告するよう施設に義務づけていますが、このセンターは暴行した職員本人から報告を受けながら県に伝えず、家族にも「原因は分からない」と説明していたそうです。
【関連/引用/参考サイト】
2009~2010年、知的障害者の権利擁護に取り組むNPO「PandA-J」が全国の知的障害者の親などに行った調査(有効回答970件)では、学校で「虐待や不適切な対応をされたことがある」と答えたのは24・2%。職場や施設よりも多かったそうです。日本では、学校は『聖域化』と考えられていることが多く、教育現場での自浄作用は働きにくいのが実態です。
また、2012年10月に障害者虐待防止法が施行されたのを受け、初めて厚生労働省による全国調査が行われ、2013年4月1日から2014年3月31日の1年間で、虐待と判断されたケースは、「養護者によるもの1764件、障害者福祉施設従事者によるもの263件」と、前年度よりもいずれも増加しています。
一方、「障害者福祉システム」は、日本よりも進んでいるように見える欧米ですが、こういった差別的な事件は、残念ながら後が絶ちません。
NPRによると、2011年~2012年の一年間で、上記のような問題視された束縛は、267,000回にも及ぶそうです。危惧した団体は、「Cameras In Special Needs Classrooms」といったサイトを立ち上げ、毎日のように、学校で起こっているいろいろな問題を提起しています。
障害児/者は職員から虐待されていても虐待と認識できないことが多く、説得や口止めもされてしまいがち。ましてや、言葉を話せない場合は、苦痛を感じていても、訴えることもできません。福祉施設での虐待は主に、密室で行われている場合が多いので、全ての入所者の状況確認は更に難しくなります。施設側が隠そうとすれば、内部告発でもない限り公にはなりにくいのです。日頃から、保護者が障害児/者の様子を逐次観察して、少しでも変なところがあれば、きちんと学校や施設に直接確認、または、関係者各所に相談することが大切です。