レスリー・レムケ Leslie Lemke
1952年、ミルウォーキー生まれ。
アメリカの自閉症音楽家。
彼は早産のため網膜に問題があり、生後1ヶ月で眼球を摘出。脳傷害も併発した。産みの母親は彼を育てることを放棄し、生後6カ月で看護婦であるメイ・レムケに引き取られた。
食べ物を飲込む力が弱かったため、メイはいつも食べ物をレスリーの喉に押し込めなければならず、自分自身の力で噛んで飲み込めるようになるまで1年かかった。生後、なんらかの成長がみられるまで、7年もの歳月がかかった。その間、レスリーは言葉や動作、感情もなかった。12歳で立ち始め、15歳でようやく歩くことができた。
彼の並外れた記憶力は、幼少のころにメイが歌うヒットソングを単旋律ながらピアノで弾きこなして行く日常で発揮されたそうだ。メイには音楽を鑑賞する趣味がなかったので、この特殊能力に気がつかなかったそうだが、レスリーが16歳の時、数時間前にテレビで初めて聞いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番をためらうことなく完璧に弾きこなして、メイは仰天。驚くことに、レスリーはそれまでにピアノのレッスンを受けたことはなかったらしい。
※余談だが、かのモーツァルトもサヴァン症候群だったのではないかという説がある。
これは最初のイタリア旅行のときに、システィーナ礼拝堂における門外不出の秘曲とされていた
ドメニコ・アレグーリの「ミゼレーレ」を聴いて、暗譜で書き記したという有名な逸話による。
メイは、レスリーの音楽活動を応援し続け、1980までには、ウィスコンシンのFond du Lacで定期的にコンサートを行うまでになっていた。
彼の偉業は、CBCチャンネルの「Man Alive」「CBS Evening News」「60 Minutes」「That's Incredible!」など、いろいろなテレビ番組で取り上げられ、1983年には、レスリーの物語「The Woman Who Willed a Miracle」が制作された。
アメリカ・スカンジナビア・日本など世界中を訪れ、フリーコンサートを開催。養母のメイは、アルツハイマーを発病。1993年11月6日、帰らぬ人に。レスリー本人は、2014年現在でも現役で活躍している。