【助成/支援 Subsidies/Support

 

  税控除        
  Tax Benefits
     

 

 

 

自治体によって変わる住民税率など。。統一されていない税制度

 

 

国の制度である「国税」と、市区町村/各自治体の制度である地方税。病気・失業・災害などにより生活が著しく困難になった場合や、前年より大幅に所得が減った場合などに税金の全部、または一部が免除されます。所得控除は、2014年7月現在、「人的控除」と「物的控除」の2つのグループに分かれ、全部で14種類あります。

 

●人的控除(納税者の個人的事情を考慮した税控除制度)

 基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障害者控除

 寡婦(寡夫)控除・勤労学生控除

 

●物的控除(社会政策的配慮から設けられた税控除制度)

 雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済掛金控除

 生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除

 

 このうち、障害児/者に関する主な制度をご紹介します。

 

 

  基礎控除 国税庁

納税者(申告者)すべてに一律の金額「所得税(38万円)・住民税(33万円)」を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと。他の所得控除のように、「こんな状況でないと該当しない」などの条件ではなく、所得に応じて適用されます。基本的には住民税額は全国どこに住んでいても変わらないというのが原則ですが、住民税は自治体の権限で税率を変えることができる為、同じ経済状況でも、ある市は減税、別の市は増税というような例外もあります。東京都の場合、所得が500万円以下の場合、所得税や住民税が控除の対象となります。住民税の場合 は前年の所得が125万円以下であれば非課税というのが目安です。所得の低い場合は毎年申 請して、住民税を非課税にしてもらうことも可能。住民税額の計算方法は、ちょっと複雑なので「住民税の解説サイト」を参考に。

 

【所得税】

個人の一定額以上の所得に対して課税される国の税金。働いて給与をもらっている人は、最低65万円の「給与所得控除」があるので、38万円の「所得税基礎控除」と合わせると、38万円+65万円=103万円。つまり、年収が103万円以下であれば、実質的な所得が「0円」と見なされ、所得税がかからないというわけです。これを、一般的に「年収103万円の壁」と呼ばれています。

 

※ちなみに・・・

「年収130万円の壁」とは、下記で説明している「社会保険料控除」を受けられる所得上限が130万円のため、これを超えると年間30万円程度が自己負担になること。
「年収141万円の壁」とは、年収103万円を超えたとしても、141万円未満までは、(配偶者がいれば)配偶者控除も配偶者特別控除(家計の税負担が大きくならないよう、配偶者の年収に合わせて税金を控除してくれる制度)が適用されますが、141万円を超えると控除はなにもないこと。

 

【住民税】

個人の一定額以上の所得に対して課税される地方の税金。道府県民税と市町村民税の2つがあり、非課税限度額は35万円(所得金額が35万円までは非課税ということ)。最低65万円の「給与所得控除」と合わせると、35万円+65万円=100万円。つまり、年収が100万円以下であれば、実質的な所得が「0円」と見なされ、住民税がかからないというわけです。100万円を超えると、均等割(市町村によって異なる)と、10%の所得割がかかります。住民税額の計算方法は、ちょっと複雑なので「住民税の解説サイト」を参考に。

 

※国税の基礎控除額は「33万円」なので、単純に計算すると、33万円+65万円(給与所得控除額)=98万円となり、「非課税になるのは年収98万円からではないのか?」と勘違いされる方が多いですが、地方税の「非課税限度額 所得35万円」が優先されるため、上記の計算の年収100万円が基準になります。

 

※基本的には住民税額は全国どこに住んでいても変わらないというのが原則ですが、住民税は自治体の権限で税率を変えることができる為、同じ経済状況でも、ある市は減税、別の市は増税というような例外もあります。

 

Image:テンプスタッフ・ピープル
Image:テンプスタッフ・ピープル

 

扶養控除  国税庁

生計を同一にしている16歳以上の扶養親族(配偶者以外で、6親等内の血族 or 3親等内の姻族親族 / 年間の合計所得金額が38万円以下 /  青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと)がいる納税者場合、所得金額から一定の控除を行なうもの。

 

 

障害者控除/特別障害者控除 国税庁

納税者自身・控除対象配偶者・扶養親族が「所得税法上の障害者」に当てはまる場合、一定の金額の所得控除を受けることが可能。控除できる金額は、障害者 一人について27万円。特別障害者に該当する場合は40万円。控除対象配偶者・扶養親族が特別障害者に該当し、納税者と生計を同じにして、同居を常況とし ている場合は75万円。
 

 

医療費控除  国税庁

生計を同じにする納税者自身・控除対象配偶者・扶養親族の世帯全体の医療費が年に10万円を超えた場合に受けられる税控除。利用した医療機関や健康保険から直接医療費が戻ってくるわけではなく、自営業者は、確定申告の際に、通常の手続きと共に医療費控除を申告して納税。会社員は、予め給与から強制的に所得税を天引きされ、年末調整によって納税は完了されているので、新たに医療費控除を申告。その後、すでに払った所得税の一部が税務署から振り込まれるシステムになっています。申請は、ネット「国税庁 確定申告書等作成コーナー」からでも可能。

 

医療費控除の対象になるものは、「国税庁 医療費控除の対象となる医療費」基本的には治療のための医療費。「医療機関や歯科での治療費・薬代・入院の部屋代や食事代」など。。。はもちろんのこと、「出産費用・高額な歯科治療費・入院や通院にかかった交通費(自家用車のガソリン代、駐車場代は対象外)・薬局で買った市販の治療薬」など。。。健康保険適用外の費用も対象。反対に、「病気が発見されない場合の人間ドック等の健康診断費用・ビタミン剤や漢方薬・美容整形」など・・・の予防のための医療費は対象にならないので、残念ながら、自閉症や発達障害の症状緩和にいいとされているサプリメント類も対象外です。

 

 

社会保険料控除 国税庁

生計を同じにする納税者自身・控除対象配偶者・扶養親族の世帯全体の年収が130万円未満(60歳以上 or 障害者の場合は、年間収入180万円未満)の場合、支払った社会保険料(国民年金・国民健康保険・健康保険・厚生年金保険など)に対して受けられる税控除。1月~12月までの1年間に支払った、「社会保険料全額が控除の対象」で、金額の制限はなし。自営業者は、確定申告の際に社会保険料支払い済み証明書類を添付して申請。会社員は、予め給与から天引きされ、控除の手続きをしてくれるので、何もする必要はありません。

 

 

勤労学生控除 国税庁

生計を同じにする納税者が 所得税法上の勤労学生に当てはまる場合、一律の金額「所得税(27万円)・住民税(26万円)」を所得金額から控除、差し引くことができる「所得控除」のこと。

勤労学生の条件は・・・勤労による所得があり、合計所得金額が65万円以下 / 源泉徴収しない株式やアフィリエイト収入などの勤労によらない所得が10万円以下 / 特定の学校(高校・大学・専門学校・認定職業訓練校など)の学生であること。社会人大学生の場合は、通常合計所得金額が65万円を超えるため、勤労学生控除の対象とならない可能性が高いです。学校の在学証明書を持参して、各役所で申請手続きをします。

 

※勤労学生控除と扶養控除について、「学生と税金(アルバイト)大学生の株日記」で分かりやすい例を挙げています。

 

<例1>
アルバイトで年間90万円稼いだとしましょう。
まず、 アルバイトは給与ですから、給与所得控除(65万円)が適用されますので
90万円-65万円=25万円が残ります。この25万円が合計所得金額になります。
ですので、扶養控除の38万円を超えてないから、親の税金が増えるのはセーフ!
また、この25万円から基礎控除の38万円を引きますので、0以下になりますね。
ということは、税金もなしです!!

<例2>
アルバイトで年間110万円稼いだとしましょう。
まず、アルバイトは給与ですから、給与所得控除が適用されますので
110万円ー65万円=45万円が残ります。この45万円が合計所得金額になります。
ですので、扶養控除の38万円を超えてます!ということで、親の税金が増えます!

ここで、合計所得金額が65万円以下ということなので、勤労学生になります。
ということは 勤労学生控除(27万円)が適用!45万円-27万円=18万円。
それに基礎控除(38万円)を引くと、合計が0以下になりますね。ということは税金はなしです!!

<例3>
アルバイトで年間135万円稼いだとしましょう。
まず、アルバイトは給与ですから、給与所得控除が適用されますので
135万円ー65万円=70万円が残ります。この70万円が合計所得金額になります。
ですので、扶養控除の38万円を超えてます!ということで、親の税金が増えます!
また、合計所得金額が70万円ですので、勤労学生ではありません!

 

つまり、本人と両親に一番優しいすべての税金が「ゼロ」になる年収は103万円(年収103万円の壁)。勤労学生控除を受けて、税金が「ゼロ」になる年収は130万円(年収130万円の壁)。。。ということです。

 

 

 

 

 

 

税務署(Canada Revenue Agency)が管理する統一された税制度

 

 

Canada Child Tax Benefit = CCTB カナダ児童税給付(国の制度

     Canada Revenue Agency 

1993年に導入された育児関連経費を援助するための税金還付や手当。「Child Disability Benefit (CDB)」と「National Child Benefit Supplement (NCBS)」の2種類があります。支給額は毎年微妙に変わります。(2013年度は Guideline tables 参照)

 

  • Child Disability Benefit 児童障害手当 Canada Revenue Agency

    「重度で長期的な身体障害/知的障害」を持つ18歳以下の子どもを療育している家族の助成制度。

    所得・障害のレベルにより、年間$2,650 ($220.83/月) までが支給されます。

        ※対象になるかは、Canada Revenue Agency の審査次第。医師に書類

         (T2201, Disability Tax Credit Certificate)を記載してもらい、居住地域の tax centre へ郵送。

     

  • National Child Benefit Supplement 児童手当National Child Benefit.ca

    子どもの貧困救済を目的として、扶養している低所得家族への経済的追加助成。所得のレベルが年収$25,584(税引後)以下であれば、満額で月額$186.75(子ども1人)$351.91(子ども2人)が支給されます。

     

     

Universal Child Care Benefit (UCCB) ユニバーサル児童育成手当(国の制度

   Canada Revenue Agency 

6歳以下の子どもを療育している家族の助成制度。所得制限がなく、毎月$100が支給されます。

 

 

Health and Medical Related Tax Credit 健康 & 医療関係税控除(国の制度

政府から認定された疾病や障害の理由で、納税者自身・配偶者・扶養している18歳未満の子どもの医療に関連した費用が大幅にかかってしまう場合の「Non-refundable 救済税控除(収入から医療費が控除されるので、支払う税金が減額される)」制度。申請には、資格をもった医師からの承諾書が必要。たとえ医師からの承諾を得たとしても、全ての医療費がカバーされるのではなく、あくまでも原則ではリストにある控除対象内容で、Canada Revenue Agency の審査次第。稀に、民間療法などの医療費との境界が微妙な費用の場合、認可されることもありますが、対象にならない可能性が極めて高いです。申請可能な額には上限が定められており、申請額全部 or 一部が控除支給額として戻ってきます。しかし、控除支給額は一律でなく、個人の経済的背景を考慮に計算され、政府のその年の予算計画により、毎年変額します。

  

        ※新規で、障害者として申請する場合は、予め、医師に必要書類

   (T2201, Disability Tax Credit Certificate)を記載してもらい、

       居住地域の tax centre へ郵送。Canada Revenue Agencyから承認されることが必要です。

 

  • Medical Expense Tax Credit  医療費税控除 Canada Revenue Agency

    世帯全体の医療費が「固定額(2012年度の場合$2,109)」か「勤労収入の3%」どちらか少ない額以上が申請可能。医療費控除対象となるのは、リストeligible medical expenses」を参照。

     

     ※日本でも控除対象の薬品・医療備品をはじめ、カナダらしいのは「グルテンフリー食品

      (ただし、これらの食品にアレルギーを持っている場合のみ)」や

       「自閉症を持っている人のセラピー犬のエサ代/獣医師代」なども対象になっていること。

        

     

  • Disability Tax Credit 障害税控除 Canada Revenue Agency

    控除額は・・・

     「控除率(tax rate %)」X「基礎控除額(base amount)+ 追加控除額(supplemental amount)」

     

    「控除率」は、政府が決めたレート(2012年度は15%)

    「基礎控除額」は、認定障害者全員に控除される固定額。(2012年度は$1,132=15% x $7,546)

    「追加控除額」は、18歳以下の障害児を対象にした控除額。(2012年度は最高$660=15% x $4,402)居住環境によって、減額されることがあります。

     

     ※「控除率・基礎控除額・追加控除額」は、いづれも個人の障害のレベル/種類などによって

      細かく区分され、決められているので、毎年変わります。

     ※Child Disability Benefit (CDB)は、「基礎控除額+追加控除額」のこと。

     

     

  • Disability Supports Deduction  障害支援控除 Canada Revenue Agency

    「オ フィスの運営や雇用の義務」「仕事の継続」「指定された学校への通学」「助成金を受けた研究の続行」などを目的とした、障害者対象の控除制度。例えば、介 護士やノートを取るための介助士の利用、言語障害者のための電動スピーチシンセサイザー購入など。。。特別にかかった医療費を助成してくれます。

     

     

  • Refundable Medical Expense Supplement 低所得者医療費税控除 Canada Revenue Agency

    上記の制度に加えて、低所得者に用意された救済制度。18歳以上で、前年度年間を通してカナダに居住し、勤労収入が$3,333~$48,118(2013年度の場合)の世帯対象。世帯全体の医療費が「固定額(2013年度の場合$1,119)」か「個人の医療費と障害支援控除(Disability Supports Deduction)の合計額の25%」のどちらか少ない額が返金。つまり、どんなに医療費がかさんで申請したとしても、この制度での返金の上限は$1,119 です。ただし、世帯全体の純利益が$24,783を超えると、5%ずつ減額。$44,973を超えると、控除額はゼロになります。

 

※注意※Refundable Tax Credit」と「Non-Refundable Tax Credit」の違い

 

Refundable Tax Credit は、対象となる費用が全額・一部返金される控除 Non-Refundable Tax Credit は、その年の収入から対象となる費用が控除され、支払う税金が減額される控除
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全ての税控除給付金に共通する詳細は、下記の通りです。

 

 

【給付条件】
18歳以下の子どもと同居、扶養していること

    ・子どもにとって主な扶養義務者であること

・カナダ在住で、給付者はカナダの市民権や永住権を所有していること

・過去18カ月間カナダに住み、19カ月目にカナダに居住するのに有効な許可証を取得していること

 

 

【給付金計算】個人の状況を基に、オンラインで計算

・扶養している子どもの数

・居住している州

・前年度の収入

・障害のレベル(Child Disability Benefit の場合)

 

 

【申請方法】

郵送:申請書RC66 (1-800-959-2221 or ダウンロード)

 送付先 British Columbia, Yukon, or Regina Surrey Tax Centre

9755 King George Boulevard, Surrey BC V3T 5E1

 

オンラインMy Account  

注)*婚姻やコモンローで同居していても、毎年別々に申請すること

*最近2年以内のカナダの移住者、または1年以内のカナダ市民権取得者は、

Schedule RC66SC Status in Canada/Statement of Income」を送付すること

*カナダ国外で出生、または国内で出生した1歳以上のこどもがいて、過去に

  CCTBの申請をしていない者は、出生証明書を送付すること

 

Automated Benefits Application (ABA)

新しく導入された方法で、BC州の児童出生申請書とVital Statistics Officeへの個人情報公開許可書に記載し、Social Insurance Numberを送るだけで、一度に全ての給付金申請が簡単にできます。上記の郵送方法で申請された場合は、利用できません。(詳細はこちら