母子家庭・父子家庭助成/支援(日本のみ)        
Subsidies/Support for Single Parents

 

 

 

日本独特「ひとり親(片親)支援制度」

 

 

お子さんが政府から認定された障害を持っていた場合、いろいろなサポートがあるのは、日本でもカナダでも同じですが、日本では「ひとり親家庭」になると(一定の基準をみたしていれば)更なるサポートがあります。これは、「低所得かどうか・・」がポイントになっているカナダではない制度。逆に言えば、日本では「子どもがなく離婚した低所得者」には、国から正式に認められた病気などがある場合を除いて、あまり支援がないのが現状です。

 

しかし、全ての「ひとり親家庭」が全てのサポートを受けられるわけではありません。所得によって制限があるのは当たり前なのですが、それ以外で、受けられる家庭と受けられない家庭があります。その差は、「母子家庭なのか、父子家庭なのか」と「婚姻関係があったのか、なかったのか」という点です。

 

男女間の平等が世界で提唱されてきているのにもかかわらず、未だに日本は男性が優遇社会。通常男性は、結婚している時から、家族を支えるため仕事をしているので、離婚しても即経済的貧困に陥ることは少ないと見られています。一方、女性は、出産で離職を余儀なくされたり、保育所の待機児童問題などでなかなか仕事復帰できなかったりする状況にいることも多々あります。いざ離婚となると、職探しから始めなければいけない。子どもがいると、就職活動もそう簡単ではないかもしれません。幸運にも仕事が見つかっても、男性との社会的地位・所得格差があること、全体的には母子家庭が圧倒的に多い(母子世帯は123.8万世帯・父子世帯は22.3万世帯--平成23年度全国母子世帯等調査)という現状があるため、助成支援は母子家庭が中心で行われてきたのです。しかし、昨今の不況で、失業してしまう男性も急増。それまでは対象外だった「児童扶養手当」なども、父子家庭世帯が含まれることになりましたが、依然、母子家庭しか受けられない制度もあります。

 

婚姻関係の有無(つまり、子どもが「結婚で生まれた 婚内子」なのか「婚外子」なのか)も、助成対象の条件になりえます。こういった差別も、時代の変化に対応して、徐々に縮まってはきていますが、「婚外子」の場合は、同じ「ひとり親家庭」でも受けられない制度もあるのです。

 


以下は、2014年7月現在で、「ひとり親家庭」が受けられる主な制度。

地域によって異なるので、例として、東京都の場合をご紹介します。

  ※詳細は、居住地域の市役所のサイトをご覧ください。

  ⇒区市町村のひとり親に関するページ|東京の福祉オールガイド

 

 

   

母子家庭

父子家庭

   婚外子  母/父子家庭

ひとり親でなくても 利用可能な制度

手当

助成

児童扶養手当

児童育成(障害)手当

特別児童扶養手当

児童手当

ひとり親家庭等医療費助成-マル親

乳幼児医療費助成---マル乳

住宅手当

就学援助

保育支援制度

生活保護

 

減免

割引

国民健康保険料軽減・減免

所得税/住民税の免除・減免    (寡婦/特別寡婦控除)

所得税/住民税の免除・減免    (寡夫控除)

所得税/住民税の免除・減免    (障害者控除/特別障害者控除)

国民年金の免除・減免

上下水道の減免

交通機関の割引

粗大ごみ等処理手数料の減免制度

利子非課税(マル優/特別マル優)

ニュー福祉定期貯金

 

貸付

母子福祉資金貸付

寡婦福祉資金

生活福祉資金貸付

 

その他

ひとり親家庭ホームヘルパー派遣

母子生活支援施設

母子アパート(福祉住宅)

都営/市営住宅の当選確率の優遇

 

※注意※ 現在の税法規定では「婚姻」が前提であるため、同じひとり親家庭であっても、未婚の母/父には適応されない助成制度があります。そのため、所得税をもとに計算される住民税や国民健康保険まで高くなったり、税金控除や保育料、学童クラブ利用料、公営住宅の家賃などの生活面にも影響したりします。地域によっては、普通の母子家庭と同じとみなす「みなし適用」を導入する市区町村もありますが、まだまだ少ないので、未婚の母子/父子世帯の方が経済的に厳しい状況にある場合が多いです。

 

 

 

児童扶養手当 (国の制度) 東京都福祉保健局

18歳未満(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)の児童を監護している母、又は監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している方に支給。

 ※2010年8月1日からは父子家庭も対象に。
 ※2012年8月1日から「父又は母が母又は父の申し立てにより保護命令を受けている児童」が対象に。

 

児童1人の場合---全額支給(所得制限額未満)月額41,020円
児童が2人以上の場合---第2子は5,000円加算、第3子以降は1人につき3,000円加算

一部支給---所得に応じて月額9,680円から41,010円まで10円単位で変動
 ※児童扶養手当の額は、物価の変動等に応じて毎年額が改定。

 ※手当の受給開始から5年を経過して、特別な事情がないにもかかわらず、

  就業意欲が見られない方は、手当が一部支給停止(2分の1の減額)となる。

 

 

児童育成(障害)手当(市区町村/各自治体の制度)東京都福祉保健局

児 童育成手当には、「育成手当」と「障害手当」があり、支給要件に該当していれば、育成手当と障害手当を両方受給可能。18歳未満(一定以上の障害の状態に ある場合は20歳未満)の児童を監護している母、又は監護しかつ生計を同じくする父、もしくは父母に代わってその児童を養育している方に支給。 育成手当は、児童1人につき、13,500円(障害手当は、児童1人につき、15,500円)

 

 

 

特別児童扶養手当 (国の制度・障害認定児のみ) 東京都福祉保健局

20 歳未満の、認定された障害児を養育する父母・養育者に対して支給される手当。障害レベルよって1級、2級に規定されていて、手当月額は1級49,900 円、2級33,230円。受給資格が認定されると、申請月の翌月分から、毎年4月・8月・12月に各月の前月分までの手当が支給されます。受給者もしくはその配偶者又は扶養義務者の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。母子家庭などを対象とした児童扶養手当と名称が似ていますが、両者は主従関係にない並行した別個の制度。それぞれの要件を満たせば両方受給することも可能です。

 

 

 

ひとり親家庭等医療費助成制度---マル親 市区町村/各自治体の制度東京都福祉保健局

18歳未満(一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満)の児童を養育している方養育している方とその児童に医療証(マル親医療証)を交付し、医療機関で保険診療を受けたときに支払う自己負担金の全部(住民税非課税世帯)または 一部を助成する制度。ただし、保険のきかない診療(健康診断・予防接種・薬の容器代・差額ベッド代・紹介状を持たずに受診した200床以上の病院の初診料等)などは助成対象外。(区市町村によって助成している場合も)下記の「マル乳」との重複発行はなく、いずれか1枚の証の発行に。複数制度の要件に該当する方は、申請時に各市役所・町村役場に相談。

 

 

 

所得税/住民税の免除・減免市区町村/各自治体の制度都税事務所(都税支所)・支庁

病気・失業・災害などにより生活が著しく困難になった場合や、前年より大幅に所得が減った場合などに所得税/住民税の全部、または一部が免除。住民税は自治体の権限で税率を変えることができる為、同じ経済状況でも、ある市は減税、別の市は増税というような例外もありますが、東京都の場合、所得が500万円以下の場合、所得税や住民税が控除の対象となります。住民税の場合は前年の所得が125万円以下であれば非課税というのが目安です。所得の低い場合は毎年申請して、住民税を非課税にしてもらうことも可能。(住民税額の計算方法 | 住民税の解説サイト

 

  • 寡婦控除

    受給者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる女性。1.夫と死別 or 離婚後独身 or 夫の生死が不明といった状況下で、扶養親族 or「他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない、年間所得が38万円以下の生計を同じにする」子どもがいる。または、2.夫と死別 or 離婚後独身 or 夫の生死が不明といった状況下で、受給者本人の所得金額が500万円以下。

     

  • 特別寡婦控除

    寡婦に該当する女性が次の3つの条件も全て満たす場合、「特別寡婦」と呼ばれ、寡婦控除に上乗せした控除があります。1.夫と死別 or 離婚後独身 or 夫の生死が不明といった状況下。2.受給者本人の所得金額が500万円以下。3.子どもを扶養している。

     

  • 寡夫控除

    受給者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の3つの条件も全て満たす男性。1.妻と死別 or 離婚後独身 or 妻の生死が不明といった状況下。2.受給者本人の所得金額が500万円以下。3「他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない、年間所得が38万円以下の生計を同じにする」子どもがいる。下記の図のように、「寡夫控除」と「寡婦控除」は計算式そのものも異なっています。

 

 寡婦控除と寡夫控除の計算方法 Image:計算方法なび
 寡婦控除と寡夫控除の計算方法 Image:計算方法なび
 

母子福祉資金貸付金制度 (国の制度) (財)全国母子寡婦福祉団体協議会--経済的支援策

母子/寡婦家庭の経済的自立と、扶養している子どもの福祉の増進を図るため、原則、無利子で各資金を貸付。東京の場合、種類は「事業開始資金・事業継続資金・技能習得資金・修業資金・就職支度資金・医療介護資金・生活資金・住宅資金・転宅資金・結婚資金・修学資金・就学支度資金」の11種。 償還期限は、資金の種類により、3年間から20年間まで。貸付条件の見直しにより連帯保証人要件が緩和され、連帯保証人の確保が困難な母子家庭の実情を考慮し、連帯保証人のない場合も「有利子貸付1.5%」で貸付を認められます。詳細は、地域によって異なるので、各市町村の役所で確認。

 

  • 母子福祉資金

    対象は次のいずれかに当てはまる方。①死別 or 離婚後独身 or 生死不明 or 法令による長期拘禁 or 労働能力喪失 or 未婚の母などといった状況下にいる女性で、20歳未満の児童を扶養している方  ②母子家庭の母が扶養している20歳未満の子ども ③父母のいない20歳未満の子ども 

     

  • 寡婦福祉資金

    対象は次のいずれかに当てはまる方。①寡婦(今現在配偶者がなく、かつて母子家庭の母として子を扶養したことのある方)②寡婦が扶養している20歳以上の子ども ③ 40歳以上の配偶者のない母子家庭の母 及び 寡婦以外の方

     ※ 上記(2)1.3.のうち、現に扶養する子がいない場合は所得制限があります。

 

 


ひとり親家庭ホームヘルパー派遣市区町村/各自治体の制度制度)

小 学校低学年以下の子どものいるひとり親世帯が対象。離婚直後や、一時的な病気などにより、家事や日常生活において援助が必要な場合、ホームヘルパーを派遣 する制度。地域や個々の家庭状況により詳細は異なりますが、「午前7時から午後10時までの間の1日8時間以内」「1回につき2時間以上8時間以内」「同 一世帯について月12回まで」が 原則。所得に応じて自己負担があります。



 

住宅助成制度市区町村/各自治体の制度制度)

 

  • 母子生活支援施設(旧:母子寮)

    18歳未満の児童がいる母子家庭のための施設。誰でも入所できるわけではなく、ドメスティック・バイオレンス(DV)や借金などさまざまな事情を抱え、通常の環境では養育が困難だと判断された場合に紹介される。所謂、期間限定のシェルターのような施設。単なる居室の提供だけではなく、「母子指導員=母親に対して就労援助を行なったり、日常の育児・家事の相談に応じたり、親族との関係を改善するため精神面で支援し、法的な手続きや関係機関との調整をはかるスタッフ」や「少年指導員=子どもの日常生活の援助を中心に、学習や生活習慣を身につけられるような行事を立案したり、人間関係をうまく保てるような援助をするスタッフ」などが世話をしてくれ、母子家庭の自立を促進。建物が古めだったり、門限があったりと、悠々自適な生活が送れるわけではありませんが、保証人なしで、自己負担金0円から借りられる場所はそうそうないので、非常に有難いサポート。利用金額は所得に応じて異なる。入居者の個人情報を守るため、住所は非公表。問合せは、最寄りの福祉事務所一覧(東京都の場合)

     

  • 母子アパート(福祉住宅)

    東京都福祉局が、住宅局と協力し、区の福祉事務所を通じて空き家の入居受付を行っている 家賃の安い都営住宅。入居は、「母子家庭で住宅に困っていること/同居親族が18歳未満の児童だけで、そのうち1人は義務教育修了前であること/世帯員の収入が、定められた基準内であること/申込者本人が都内に居住している成年者(20歳未満の既婚者を含む)で、そのことが住民票などで証明できること」のすべてに該当する方。福祉住環境コーディネーターのサイト母子家庭(シングルマザー)住宅ガイド によると、申込から入居まで2ヵ月半程。使用料は月額4,400円、共益費は月額0320円と格安ですが、エレベーターなしの4~5階建、3~4畳半+台所(浴室はなし)といった結構古そうな建物らしいです。

     

  • 都営/市営住宅の当選確率の優遇 東京都都市整備局

    公営住宅法に基づき、事業主体(地方公共団体:都道府県又は市町村)が 整備し管理運営される低所得者向け賃貸住宅。家族向けの入居資格は「申込日現在、都内に居住していること/同居親族がいること/住宅に困っていること/所得が定められた基準内であること」のすべてに該当する方。5月と11月の募集において優遇抽せんのある地区に申込みをした場合、一般の申込者よりも当せん率が5~7倍高くなるとのことですが、先述の母子家庭(シングルマザー)住宅ガイドによると、現実は、自営業(個人事業主)などは収入を操作し、都営住宅に住んで高級外車を所有している人もいるそう。元々住宅数が少ない上、一度入居したらなかなか出る人がいないので、いくら優遇されるといっても入居が困難だそうです。

     

  • 住宅手当

    20歳未満の児童を養育している母子・父子家庭で、「収入・居住期間・家賃上限以下」などの条件をクリアしている方に、その一部を助成。支給金額は各自治体で若干異なりますが、家賃の額に応じて3,0007,000円くらい。

     

  【便利なサイト】
    ・シングルマザー(母子家庭)の賃貸お部屋探し

    ・【SUUMO】母子家庭 住宅に関する賃貸・賃貸マンション情報

    ・シングルマザー(母子家庭)の部屋探しサポート

 

母子生活支援施設 Image:江東区役所
母子生活支援施設 Image:江東区役所
母子生活支援施設 Image:全国母子生活支援施設協議会
母子生活支援施設 Image:全国母子生活支援施設協議会
都営 笹塚二丁目アパート Image:都営住宅物件あんない
都営 笹塚二丁目アパート Image:都営住宅物件あんない

 

 

 

低所得者かどうか・・?」によって内容が異なる助成制度

 

 

カナダでは、日本のように「ひとり親(Single Parents)限定の助成」というのはありません。片親でも、両親揃っていても、全てその家庭の収入によって助成対象か否かが決定されます。

 

カナダの助成制度については、当サイトの下記ページを参照してください。

  ・カナダ 助成/支援 

  ・BC州低所得世帯税控除給付金

  ・カナダ/BC州各種サポート