保育
Child Care
健常児は成長とともに、自分でできることも一つ一つ増え、やがて、独りでも自立した日常生活を送れるようになりますよね。
障害の有無にかかわらず、カナダの法律では「12歳以下の子どもを独りで留守番させること」は違法。正当な事情があったとしても、バレルと逮捕されてしまう可能性が高いので、仕事などでどうしても留守にしなければいけない多くの保護者は、「シッター・友人・13歳以上の兄姉」に頼んで、12歳までは面倒を見てもらっています。
しかし・・・障害児の場合は、障害のレベルが重くなればなるほど、日常生活のありとあらゆる部分で介助をしなければいけない事が増え、ある程度の年齢になっても、常に誰かの助けが必要になります。でも、その「誰か」は、「誰でもいい」わけではなく、ある程度の障害についての理解がないと対処できないこともあるので、普通のママ友に気軽に頼むわけにもいきません。
障害児によっては、普通では当たり前に学んでいくであろう「危険・汚いなどの認知感覚」も低いこともあるので、安全に過ごせるよう、ずっと監視する意味でも、シッターさんは必要になります。
【保育所のシステム】-------------------------------------------------------------------------
【CCRR--Child Care Resource and Referral】と【VCH--Vancouver Coastal Health】という「こどもへの質の高い保育・健康管理」を目的としたサービス団体がBC州にはあります。地域ごとに運営され、保護者と保育者に情報提供・ワークショップ・トレーニング・育児のカウンセリングなどのプログラムを提供しています。
CCRRでは「視察部門」が設けられ、保育所は定期的に視察を受けます。保育環境に関しての厳しい規定をクリアした保育所は、CCRRのリストに正式に登録をされるので、大切なこどもを預かってもらう保護者としては「良質な保育所の判断基準」となっています。
【保育所の種類】-----------------------------------------------------------------------------
♣ Licensed (Family home, group child care centre or preschool)
資格を取得している保育所。
「Community Care Facility Act」と「Child Care Licensing Regulation」の規定の条件に合格しなければないため、より適正な保育環境が提供される。
例えば・・・ ・20時間以上のチャイルドケアコースの受講
・ファストエイド資格の取得
・クリミナルレポート提出
・照会状提出
・CCRRによる家庭訪問、安全面の指導など
同時に世話可能なこどもの人数(3~7)、施設の大きさ、消防法や衛生面などの観点からも、保健所より指示を受ける。
♣ Registered Licence-not-required
資格はないが、CCRRからの認可登録を受けている保育所。上記ほどの厳しい規定ではないにしろ「ファストエイド資格の取得」「クリミナルレポート提出」などのいくつかの項目がクリアしなければならない。
♣ License-not-required
CCRRからの認可資格は、義務ではなく任意。殆どの場合、保育者のこどもと別のこどもの個人的なアレンジによって提供される保育所。同時に保育可能な児童の人数は、保育者のこどを除き2人(または、同じ兄弟姉妹の1グループ)まで。保育者は、正式なチャイルドケアの訓練や経験がないが、勤務時間・料金・利用規約をある程度自由に設定可能。このような施設を利用するにあたって、親は、保育の質を常に監視確認する責任がある。
♣ In the Child’s Own Home
自宅で保育者にこどもを世話してもらうアレンジ。保育者は「ケアギバー」や「ベビシッター」とも呼ばれ、個人契約の場合と専用のエージェンシー紹介による契約とがある。親は、保育者の雇用主とみなされるので、雇用保険とカナダ年金プランへの支払いの義務の他、いくつかの規約がある。
【保育所の現状】-------------------------------------------------------------------------
これらの保育料金は非常に高く、公営の無利益保育所ですらフルタイムだと$600前後、普通の大型保育所では$900~$1200なので、これでは、給料の殆どが保育料になってしまい、「いったい、なんのために働いているのか・・・」ということになってしまいます。
スペースの確保が大変で、1~2年待ちの保育所も多くあるので、個人的にシッターを雇うケースもありますが、その場合でも平均時給が$10~$12。障害児で特別なケアが必要である場合は、当然その分増額になります。コストを抑えようと、学生のバイトを雇ったとしても、きちんとケアをしてくれるのか・・・保育の質が心配ですよね。
公共の保育施設の中には、利用は無料(または低額)で、飲み物やスナック、ランチまで含まれているものもありますが、保護者同伴でなければいけなかったり、フルタイムでしか利用できなかったり・・と、仕事をしている親にはとても辛い状況です。
■Child Care Subsidy ▶詳細 Ministry of Children and Family Development
毎日のことになると馬鹿にできない保育費・シッター費を少しでも軽減させるため、収入に合わせて設定された保育費の助成。
しかし・・・フルタイムで6歳までの児童を預かってもらうとして、所得に応じて助成が月額$150~600くらいもらえるようですが、障害児の場合は、なかなか「障害児枠」 で預かってくれる施設が少なく、自宅や個人宅での保育が主になることが多いそうです。しかし・・・その場合でも、わずかな助成金しかもらうことができず、 子どもの年齢が上がるにしたがって、通常のケースでは助成対象外になってしまったり、仕事をやめて保護者が面倒をみなければならなくなったりするのが現状。自分の切羽詰った状況を助成金申請担当者やソーシャルワーカーに相談して、交渉することが必要です。
■Special Needs Supplement ▶詳細 Ministry of Children and Family Development
認知された障害児の場合は、上記の制度に加えてプラス月額$150を貰うことができます。
【給付条件】▶条件に当てはまるか・・・条件確認サイト でチェック!
・カナダの市民権や永住権を所有していること
・申請時点でBC州に住んでいること
・保育所利用を希望する理由(仕事・求職中・通学・病気など)がある
【給付金計算】▶給付金がどれくらいもらえるのか・・・[PDF] 最新2012年度リスト でチェック!
「子どもの数・年齢・収入・保育所の種類」を元に計算される
【申請方法】
自分にあったチャイルドケア施設を選択し、申込フォームに記載、
追加書類([PDF]Special Needs Supplementフォーム)を同封して、
Child Care Subsidy Service Centre に郵送。
【チェックリスト】
・[PDF]Child Care Subsidy Application Checklist
■BC Early Childhood Tax Benefit
▶詳細 Ministry of Children and Family Development
2015年4月、BC州で新しく導入される6歳児以下を扶養している世帯の非課税助成制度。所得の限度はありますが、よほど高所得でない限りは、ほとんどの世帯(政府予測 140,000世帯)は「満額支給対象」になるとみられます。
【給付条件】
・カナダの市民権や永住権を所有していること
・申請時点でBC州に住んでいること
・2013年度からタックスリターン申請をしている
【給付金計算】
「子どもの数・世帯のNet Income」を元に計算。Net Incomeが$100,000以下の世帯は、子ども一人当たり満額「月額$55 or 年間$660」支給。$100,000以上の世帯でも、
一部支給。
【申請方法】
この制度は、「Canada Child Tax Benefit (CCTB) と BC Family Bonus Program」
の2つの制度と組み合わさっているので、CRA(Canada Revenue Agency カナダ国税局)がタックスリターンの情報を元に自動的に計算。新規に申請は不要。
【関連/引用/参考サイト】
・CCRR (Child Care Resource and Referral)—Vancouver Costal Region)
・VCH (Vancouver Coastal Health)
・[PDF] Parents & Guide to Selecting Child Care
・Child Care-Ministry of Children and Family Development
・Supported Child Development (SCDP)
・British Columbia - Finding quality child care
■At Home Program
(AHP) ▶詳細 Ministry of Children and Family Development
自宅で重症の障害児を育てている保護者の膨大な費用の支援を目的に設立。
【Respite-レスパイト助成】と【Medical Benefits-医療助成】の2種類があります。
Respite-レスパイト助成
乳幼児や障害児/者、高齢者などを在宅でケアしている家族を癒すため、一時的にケアを代替し、リフレッシュを図ってもらう家族支援サービス。ケアを担っている家族の病気や事故、冠婚葬祭などの「社会的な事由」や、介護疲れのリフレッシュなどの「私的事由」でも利用できます。サービスは、家族のニーズによって、自宅 or 別の場所と種類が選べるようになっていますが、「面倒を見ることができる一方の親や同居家族がいる場合」、「親の仕事・学校・トレーニングなどの理由」、「その他 Ministry of Children and Family Development が提供しているプログラムとの重複」では利用できません。
助成金は、家族の収入によりますが、通常年間$2400~$2800。特別な状況においては、例外的に、増額が認められる場合もあります。現在、受給資格を待っている家族が大勢いるため、申請後すぐに利用ができるわけではありません。自宅外でのレスパイトの場合、緊急手術など急を要する事由では、勿論すぐに利用できますが、単なる息抜きとしての利用であれば、何ヶ月も前から予約を入れ、空きが出たら2~3日くらい前に連絡が来て、ようやく利用ができる・・・といった現状だそうです。
介護者雇用のレスパイトでは、申請者である保護者は「ケアギバーの雇用者」としてみなされるので、ケアギバーの選択からスケジュール管理、支払い、レスパイト予算の管理、支出記録の提出まで、責任をもってしなければいけません。
Medical Benefits-医療助成
こちらは、保育に関係した助成ではないので、詳細は「医療」の項目を参照して下さい。
【給付条件】
・カナダの市民権や永住権を所有していること
・申請時点でBC州に住んでいること
・対象者が子どもの場合:扶養児童が18歳未満(レスパイト助成)
17歳未満(医療助成)であること
・対象者が成人の場合:個人の状況によって決定
・BCメディカル(MSP国民健康保険)へ加入していること
・申請者の保護者と扶養児童が同居していること
・日常生活で、自立が困難な作業項目(例:入浴や、排泄、食事、着脱など)
が少なくとも3~4つあること
【注意事項】
・Nursing Support Serviceの介護サービスを利用している場合、
アセスメント不要で、医療助成が可能
・AHP申請用紙に医師からの記載があり、一時的な症状の緩和で利用する場合、
アセスメント不要で、レスパイト・医療両助成が可能
・保険金や裁判の勝訴報酬を受取ったこどもや扶養者は適応外
・適性は定期的にチェックされる
【助成内容】
「障害の症状・レベル・年齢・収入・家庭環境など」を基に、
必要なサポート内容を決定
【申請方法】
[PDF] 申込フォームに記載して、 [PDF] At Home Program Regional Contact に郵送