イベント 2011年~2012年
2011年11月~2012年11月
UBC(ブリティッシュコロンビア大学)Joe Lucyshyn教授による勉強会
(2011年11月/2012年1月~12月まで毎月1回ペースで、計12回)
特別支援教育の専門家の指導の下、自閉症のこどもの指導に効果的な「ABA=応用行動分析」を応用したPositive Behaviour Supportを参加者の家族の持つこどもの問題行動を元に、実践的に問題行動対処法を学ぶ「家族のため」の勉強会。全12回の勉強会を通して、自宅で実践的に取組めるプログラムを紹介。お子さんに実践していただいて、成長具合も確認しながら進めていきます。
【勉強会日程】
日時:2011年11月/2012年1月~12月
毎月1回ペースで、計12回
毎月日曜日 2:00-4:00PM開催
会場: University of British Columbia: 2125 Main Mall, Vancouver
【講師紹介】
Joseph M. Lucyshyn教授:University of British Columbia
大学教育学部教授教育心理学・応用心理学・特別支援教育専門、
認定行動分析士(米国行動分析士認定協会 BCBA-D) UBCサイト
[2011年11月20日]
JOE教授によるPBS勉強会 第1回
いよいよスタートを切った勉強会!今日は、オリエンテーションです。来年1月から計12回の1年。毎月1回、発達障害児を育てている親御さんを対象に、特殊教育専門の現役の大学教授から、「無料で直に」ABA療法を伝授してもらえる、なんとも夢のような勉強会。この素晴らしい機会に、10名の方々からの参加がありました。
●これから、どのようなことを学んで行くのか・・・
●ABAとはどういった療法なのか・・・
●この勉強会を通じて、どういったことを達成できるのか・・・
という、だいたいの流れを Joe先生 から説明いただきました。
これからの勉強会が楽しみです♪♪
[2012年1月15日/2月19日]
JOE教授によるPBS勉強会 第2/3回
11月にスタートをきったこの「PBS勉強会」。参加者を新たに募って、いよいよ1月、本格的に開始しました。自閉症家族会役員4人を含む、合計14人の主に、自閉症児・発達障害児を抱えている親御さんが参加。University of British Columbiaの特別支援教育の専門家・Joseph M. Lucyshyn教授より、「ABA=応用行動分析」をどのようにに用いて、お子さんとの日常生活を より良いものに変えていくのか。。。を勉強しました。
●モノを投げる
●つねる
●叫ぶ
●唾をはく
●よだれを垂らす
●お母さんが目を離すと、パニックになる
●危険なところも登ってしまう
●こだわりが強い
などなど・・・自閉症児・発達障害児の特徴で親御さんが困っている問題点を話し合い、それらをABAの4種類のカテゴリー(逃避・アテンション・リクエスト・感覚的な刺激)に分類して、具体的に「どういうときに、子ども達はそういう問題行動をしてしまうのか」という原因ときっかけを探る作業をしました。
今までは、問題行動が発生すると、その場その場の対処に追われるだけで、どうしたら発生を食い止められるのか・・・と、考える余裕のなかった方達も、子どもの問題行動の仕組みが少しだけでも理解するきっかけになった作業でした。
2時間は、あーっと言う間に過ぎていきました。今回は、まだセオリーを習う段階だったのですが、「早速、家で実践してみるわ」と、話しをしてくださった方もいらっしゃいました。 次回が楽しみです!!
[2012年3月25日]
JOE教授によるPBS勉強会 第4回
前回の第3回目から早1ヵ月ちょっと。第4回を迎えた勉強会も、JOE先生から「どのように子ども達の問題行動に立向かったらいいのか」を伝授していただきました。
その中で、特に印象に残ったのが、「ABA=応用行動分析」とは直接関係ないことなのですが・・・<毎日のトレーニングを頑張りすぎないこと>という言葉です。
人間誰でも、不真面目よりは真面目の方が社会では評価されます。仕事だって、完璧にこなせる方が、会社にとって役に立つ人と見られますよね。でも、自閉症児・発達障害児を抱えている親御さんにとって、お子さんのために努力する、この「真面目に取り組む姿勢・完璧に課題をこなそうと取り組む姿勢」が、時には裏目に出て、結局、子どもにも、親御さん達本人にとってもいい結果につながっていかないこともあるのだ。。。と、JOE先生はお話しくださいました。
ここで、先生は、三角形を紙に書き、その三角形の中に3本線を引いて、4つに分けました。「何をされているんだろう?」と、黙ってみていると、その4つのところに、三角形の上から、「私の子ども」「私の人生」「私の家族」「私の家族の人生」と入れたのです。
つまり・・・「家族のコアになってるのは、確かに「問題行動を起こす子ども達」ですが、それを下で支えている「親御さんや兄弟・姉妹などの家族みんなの人生」が壊れてしまったら、子どもさん自身も壊れてしまう。」ということ。だから、トレーニングに取り組むのも、ほどほどに力を抜いて、たまには息抜きが必要。「あぁ~、最近、ストレスがたまってきたな。。」って感じたら、まずは自分をケアしてあげること。自分を犠牲にして、とことんまで頑張らなきゃという気持を抑えて、真面目さから自分を解放してあげること。これが、大切なんですよね~。
[2012年4月22日]
JOE教授によるPBS勉強会 第5回
今までの勉強会では、主に「PBS(Positive Behaviour Support)とはなにか?」という基本情報をJoe先生から伝授していただきましたが、今回の第5回からは、更に前進して「具体的にPBSをどのように日常生活に取り入れていくのか?子どもの問題行動とどのように向き合ったらいいのか?」を学びました。
まず、「予防のストラテジー(Preventative Strategies)」についてです。発達障害(主に、自閉症)を抱えている子どもは、いろいろな症状・特徴があります。(※当サイト参照 症状-特徴)これらは、一般的なルール・秩序に則って社会生活を送らなければならない日常において、さまざまな場面で問題が生じてきます。
例えば・・・
・朝起きてからスムースに洋服に着替えてくれない
・就寝時間になっても、なかなかベッドに入ってくれない
・車に乗るのを嫌がる ・トイレの便座に座るのを嫌がる
などなど。。。これらは、普通の子どもたちにも<年齢によっては>ありがちな問題ですが、特に逃避(Escape)、注意を引くこと(Attention)が目的になっている発達障害児やADHDの子どもの場合は、対処法もより複雑になってきます。言葉で物事を理解できない、コミュニケーションが苦手な子どもたちに、いくら命令しても、強気な態度で接しても、なかなか指示が入りずらいという現状があるからです。
威圧的な態度で接し続けると、子どもは一時的には行動を改めるかもしれません。一見、問題行動が減ったように見え、子育ては“成功”しているかとも思われます。でも、それは、ただ単に恐怖心がそうさせているのであって、真の解決法では勿論ありません。偏った服従関係は、やがて、親御さんとの信頼関係(Rapport)にも悪影響を及ぼし、さらに問題がエスカレートしてしまう可能性も出てきます。
こういった問題行動について、どのように対処したらいいのか・・・お子さんの問題行動を親御さん達とシェアしながら、具体的な解決策をJOE先生が教えてくれました。その中には、とてもユニークなものもあり、「へぇ~、こんなやり方もあるんだ~」と、驚きました。 「PBSのメソードを参考に子どもとの接し方を変えれば、時間はかかったとしても必ず信頼関係が築ける。」という専門家の研究があるそうです。先生曰く、このテクニックは、普通の子育てには当然のこと、旦那さまの問題行動にも活用できる方法だそうですよ。(笑)
[2012年5月13日]
JOE教授によるPBS勉強会 第6回
月1回ペースで行っているUBCでの勉強会も、お陰さまで、第6回目を迎えることができました。母の日にもかかわらず、ご出席いただき、ありがとうございます!
前回の勉強会では、PBSのTheoryを用いた具体的な取組みの基礎を学びました。どんなに素晴らしいTheoryが存在したとしても、それは研究上、文字上のことでしかありません。子どもの問題行動で悩んでいる親御さんの日常生活で、実際に活かされてこそのPBS療法なので、具体的な取組みの学習は必須ですが、それだけでは充分とは言えません。なぜなら、ここに障害の持つ複雑さがあるからです。当サイトにも載せている、「自閉症・発達障害児の症状・特徴」は、必ずしも全ての障害児に当てはまるわけではないのです。大まかな症状・特徴としては共通するところもあることは事実ですが、同じ名前の障害の診断が下りていたとしても、性別・年齢など。。。個人個人によって異なるのです。・・・ということは、問題行動の内容も異なるわけですよね。
この複雑さがあるが故に、一般に開催されているセミナーやワークショップなどでは、たとえ小規模であろうとも、なかなか対処が困難というディメリットがあるのです。そこでJOE先生は、今回の勉強会を更に発展させて、参加者の親御さんをグループに分けました。3歳~6歳/7歳~12歳/12歳以上といったように、子どもの年齢によってグループになり、個々に「現在、悩まされている問題行動」「それらが起こるときの状況」「考えられるきっかけ・理由」「どのようにしていきたいのか・・改善目標」などを、グループ毎に話し合いがら、JOE先生が用意してくださったリストを埋めていく作業をしました。障害児を抱えている生活であっても、その子だけに24時間付き合っていることはできませんよね。毎日の家事、他に子どもがいる場合その子ども達の育児、仕事など。。。日常生活の忙しさに追われてしまい、ついつい問題行動に<その場しのぎ>といった態度をとりがちです。でも、このような作業をすることによって、「子どもの問題行動に困ってはいても、何をどう困っているのか・・・」が、具体的に見え、子ども達を取り巻く環境の改善点や問題点の理解に繋がります。
しかも、同じような年齢の子ども達を持つ親御さんが一つのグループになることで、問題点をある程度シェアすることができ、お互いに良いアイディアを提案できるというメリットもあります。JOE先生の最終目標は、「先生のレクチャーを通じて、親御さん自身がPBS療法のプロフェッショナルになること。」まさに、グループで取り組むことは、画期的な方法だと思います。
●!!初お茶会開催!!●
今回初の取組みがありました!勉強会のあとに、<お茶会>を開きました。普段、参加してくださっている親御さんは勉強会が終わるとすぐに家路に帰られるので、どうしても、個人的な交流が持てません。勉強会の最中では、ざっくばらんなお喋りをすることが難しいので、家族会のスタッフも、「なんだか、物足りないな。。。」と寂しさを感じていたのです。
ということで、勉強会を離れて、自由にお喋りを楽しめる機会を作りました。近くのカフェで数時間、お茶を飲みながら、楽しいひとときを過ごすことができました!
日時: 2012年5月13日 11:00-1:00PM
会場: University of British Columbia: 2125 Main Mall, Vancouver
【講師紹介】
Joseph M. Lucyshyn教授:British Columbia 大学教育学部教授
教育心理学・応用心理学・特別支援教育専門、
認定行動分析士(米国行動分析士認定協会 BCBA-D)
[2012年5月13日]
●共立女子大学・権藤桂子教授訪問!!●
上記のお茶会の途中で、思わぬゲストが参加して下さいました。共立女子大学で児童教育学を教え、研究されている「権藤桂子教授」です。
先生は、トロントで行われる学会に出席されるため、東京学芸大学国際教育センター教授の松井智子先生とご一緒に来加。その途中で「バイリンガル環境で育っているお子さんについて、是非親御さんからお話を伺えれば・・」と、バンクーバーに寄られ、私達自閉症家族会主催のお茶会にもお時間を割いて下さいました!
(松井先生は、体調不良で残念ながら不参加。次回、また機会があったら、是非お会いしたいです!)
『バイリンガル環境は障害を持つ子どもの発達に影響を与えるのかどうか』これは、あまり研究されてこなかったテーマで、日本だけでなく世界的にも先行研究がほとんどありません。日本は、移民を積極的に受け入れていない島国なので、まだまだバイリンガルという環境について考える機会が少ないと思います。
しかし、世界を見まわしてみると、カナダを始め、さまざまな国から移住してきた人々によって成り立っている移民の国が沢山あります。そのような国々では、「たとえ公用語が英語などであっても、家庭で話されている言葉は母国語」というバイリンガル環境が当り前。そんな環境で生まれ育った健常な子ども達でさえ、完璧なバイリンガルになるのには、親と子、双方の努力が必要です。もともと言語能力に優れている子どもだったら、何もしなくても、自然に両方の言葉を操れるようになっていくかもしれません。でも、殆どの子ども達は、黙っていてそうなるのではなく、親が母国語の学校に通わせたり、母国語を話す環境に子どもを置いたり。。。と、できる限りの努力を重ねた結果なのです。
ましてや、言語障害を伴った発達障害を抱えている子ども達にとってバイリンガル環境は、更にハードルが高くなります。一種類の言語でも混乱し、コミュニケーションを取るのが難しいのですから、二種類の言語の習得なんてもってのほか!家族は、殆どの専門家から「二言語話すのはやめて英語だけにしなさい」などモノリンガル環境にするようにアドバイスされることが多いのですが、反対に、「言葉が遅いなあ。何か発達に問題があるのでは…」と心配してお医者さんに相談しても、「バイリンガル環境だから遅いだけでしょう」と適切なアセスメントを受けることができなかったというケースもあります。
一方で、家庭内での言語を一言語に統一した結果、その言語が母国語ではない片方の親と子どもの間の親子間のコミュニケーションが不十分になったり、親御さんの国の文化を子どもに伝えることが難しかったりという別の問題も出てきてしまう現状もあり、最近では「バイリンガル環境と障害を持つ子どもの発達」を見直す動きが、少数の専門家で始まっています。日本でも、バイリンガル教育は<右脳教育>として、特殊学級で試験的に採用しだした学校もあります。
その専門家のひとり、権藤先生は、
・バイリンガルの子供たちがどういうふうに二言語を獲得しているのか・・・
・発達障害のあるお子さんたちも同じようなプロセスで二言語を学んでいるのか・・
・バイリンガル環境はそういうお子さんたちを混乱させる要因となるのか・・・
・バイリンガル環境で育つことで言語以外の能力の発達に良い影響があるのではないか
などを調査。これまで、シカゴやニューヨークの日本語学校のお子さんたちにご協力いただいて、数年にわたり、日本語と英語の両言語の発達を評価し、研究に協力していただくご家族にその結果をフィードバックするという形で研究を重ねていらっしゃいます。
お茶会に参加された親御さんからは、バイリンガル環境にいるお子さんの様子が先生に語られ、先生からは日本の現状や先生の研究の成果についてお話しいただき、有意義な時間を持てたと思います。
帰り際、先生は、共同研究者である金沢大学の大井学教授著「特別支援教育における言語・コミュニケーション・読み書きに困難がある子どもの理解と支援」とセラピストなど専門家向けの言語発達の入門書として「よくわかる言語発達」を家族会に寄付して下さいました!
今後も、バンクーバーに来られる際には、ワークショップ開催など家族会の活動に協力をしていただけるとのこと。権藤先生、本当にありがとうございます。先生の研究を通して、バイリンガル教育についても学んでいきたいと思っていますので、今後ともどうかよろしくお願いします。
■権藤桂子先生プロフィール■
国際基督教大学にて幼児教育を専門とした博士号を取得した後、アメリカ・コロラド
大学にて言語聴覚・言語科学を修士課程を修了。乳幼児期から児童期の言語・コミュ
ニケーションの発達と障害が研究の主な領域である。現在は共立女子大学教授として
の大学業務と並行して、臨床発達心理士として幼稚園や保育園の巡回相談など臨床活
動に従事している。
近年、臨床活動を通して、日本においても多言語環境の子どもの発達相談が増えてき
ており、多言語環境にある子どもの言語発達についての研究自体が少ないにもかかわ
らず、言葉の遅れがある場合には十分な言語発達などの評価がされないうちに、モノ
リンガルにするよう医者や専門家から親が指導され、それにより家族内のコミュニケ
ーションが不十分になるケースも多いことに問題意識をもち、数人の共同研究者とと
もに日英バイリンガルの健常児および発達障害児の言語発達について研究を進めてい
る。著書に、『子どもと保育の心理学』『子どもと話すーインリアルの会話支援ー』
など。
■大井学先生■
[2012年6月10日/7月29日]
JOE教授によるPBS勉強会 第7/8回
前回同様、参加者の親御さんを「3歳~6歳/7歳~12歳/12歳以上」とお子さんの年齢によってグループ分けての勉強会で、主に「contingency=随伴性マネジメント(精神医学や薬物乱用治療の分野で、望ましい行動を取ったときに報奨を与えて行動変容を促す仕組み)」を学びました。
障害の有無にかかわらず、子どもに何かをせがまれたときに、つい使ってしまう「IF(もし○○したら・・・)、AFTER(○○をした後で・・・)、FIRST(最初に○○したら・・・)」といった表現。いわゆる、交換条件のようなものですね。例えば、、、子どもが「ねぇ、このおもちゃ買って~~」となったら、「今度のテストでいい点を取ったらね」といった感じです。
このcontingencyは、<条件をクリアしたら褒美をもらえる>といったものなので、子どものやる気を引き出すのにも有効で、PBS療法のひとつだそうですが、発達障害を持つ親御さんは、ちょっと注意が必要だとJoe先生は教えて下さいました。
■ネガティブcontingency■
自閉症・発達障害児の心の中はいつも不安でいっぱい。なので、否定的な表現は×。
If you do NOT do this, I won't hug you. (これをしなかったら、ハグしないよ)
こういったネガティブな表現は、不安を助長させてしまう可能性もあるので、避けましょう。
■言い方■
こんな母子の会話があります。
子:Can I watch TV? (テレビ観てもいい?)
母:May I watch TV? (テレビ観てもいいですか・・・でしょ?)
子:May I watch TV?
母:May I watch TV PLEASE? (テレビ観てもいいですか? pleaseをつけて丁寧に)
子:May I watch TV please?
母:No, you have to do your homework! (だめよ、宿題やらなきゃね)
この会話のどこがいけないのでしょうか?人にものを頼む時に、「丁寧な表現で」と、正しい言い方を教えるのは間違っていませんが、さんざん教えた後に、「ダメ」というのは、子どもにとってみれば「そんなぁ~~」と騙されたような感情になってしまいますよね。。。なので、こういう教え方はNGです。
■妥協と限度を教える■
子どもからなにかをせがまれたとき、何でもかんでもOKと受容れるのも、何でもかんでもNOと言うのも、子どもにとってはいい影響を与えません。前者は、子どもが優位になってワガママを助長してしまうだろうし、後者は、癇癪持ちの子どもの場合、手に負えないくらい暴れたり、叫んだりしてしまうかも。。。バランスが大切です。
問題は、NOと言わなければいけない時に、どのように言うのか・・・です。ただ単にNOというのでは、子どもは納得がいきませんから、下記のように「妥協と限度を教える」のがベストな言い方です。
妥協
子:Can I watch TV? (テレビ観てもいい?)と聞かれた場合、
母:---Yes, but not here. (いいけど、ここじゃだめよ。)
---Yes, but not now.(いいけど、今はだめよ。)
---Yes, but not today.(いいけど、今日はだめよ。)
---Yes, but only for an hour.(いいけど、1時間だけね。)
限度
子:Can I do this? (これやってもいい?)と聞かれた場合、
母:---No, I'm sorry, not safe. (ごめんね。安全じゃないからだめ。)
---No, I'm sorry, no money. (ごめんね。お金ないからだめ。)
---No, I'm sorry, not on our schedule. (ごめんね。予定にないからだめ。)
---No, I'm sorry, no more time. (ごめんね。時間がないからだめ。)
※勉強会、期間延長決定!!ヽ(^o^)丿
今まで、「計7回」と書いていましたが、Joe先生の配慮で12月までの延長になりました!
やはり、PBS療法は、取り組んでから成果が出るまでには時間がかかります。当初の予定
の半年あまりでは、親御さんもPBSの基礎を学び実践することは難しく、実際に家庭で実
行して、どのようにお子さんの日常生活の改善に役に立っているのか・・・その過程もきち
んとおっていきたいとの先生のご意向もあり、期間延長にいたりました。ボランティアで
ここまでやっていただけるなんて、想ってもみなかったので、参加者全員感激です!
[2012年9月23日/10月21日/11月18日]
JOE教授によるPBS勉強会 第9/10/11回
秋になり、勉強会も今回で最後です。9月からは、より個別対応ができるようにと、特殊教育を学んでいるJoe先生の優秀な生徒さんが親御さんのサポートに加わってもらうことになりました。
9~11回の勉強会で学んだことのひとつは、「Compromise=妥協」。子どもの要求にどこまで応え、どのように妥協させるのか・・・です。これは、前回も述べていますが、もう少し具体例を説明して下さいました。
■こだわり■
自閉症の子ども達は、いろいろなこだわりがあります。全ての椅子を並べないといけないとか、窓やドアが閉まっていないといけない。。。など、常にパーフェクトな環境を整えないとパニックになってしまうこともあります。こういう特徴があるので、子どもが何かを要求してくるとつい、パニックを避けようと要求に応えてしまいがちになります。「これでは子どもの教育に良くない。」と思い、1~2日は応えないようにしても、やはり子どもの癇癪に負けて、3日目最終的に応えてしまうと、子どもは、「要求をし続ければ、いづれ親は許可してくれる。」
と思い込んでしまいます。
そこで、「How about this? これはどう?」と、選択肢を与えてみる。別の方法を考えるのが最適な方法だとJoe先生は教えて下さいました。
例えば・・・
ある日なにげなく、スーパーによって買い物をした帰り、ガソリンスタンドによってお菓子を子どもに買ってあげたとしますよね。それを何回か繰り返したとします。普通の子なら、これは「今日だけのこと」と認識して、次回に同じガソリンスタンドに寄ったとしてもパニックにはならないでしょう。
しかし、自閉症児は「一度してしまったことは、すぐにパターン化され、次に同じ場所に行ったときには、同じことが起こる」と期待をしてしまいがちなのです。
「スーパー ⇒ ガソリンスタンド ⇒ お菓子を買う」というパターンが実現されないと、パニックになって、騒ぎ出してしまうかもしれません。そこで、「スーパー ⇒ ガソリンスタンド」の後に、もう一度、スーパーに行って、そこでお菓子を買う、または、他の場所に行って、お菓子は買わないなど、パターンを変えてみるのが大切なのです。
でも、要求があまりにも現実的でない場合は、危険が伴う場合は、きちんとNOと言うべきですが、きつく言うのではなく、「ごめんね。でもNOなの。」と柔らかく言うこと。100%問題行動を減らせるわけではないですが、かなり少なくなるはず。それでも、問題行動が激しくなってしまったら、刺激する物のない部屋に入れるとか、車の中に入れるおtか、親と子ども、お互いの安全を確保しなければいけません。暴力をふるう子どもの場合は、立ち位置は常に子どもの後ろに。前に立つと、暴力をまともに受けてしまい、危険です。
そして、子どもがきちんと親の言ったことに従った時には、「○○できたね。よくやった!」と誉めるのを忘れずに。これをすることで、親との信頼関係を築くことができるそうです。
※11月からは、なんと! Joe先生自ら参加者の親御さん家庭を一軒一軒回る、個別訪問をして下さることになりました。ひと家庭、約2時間くらいで、子どもさんの問題行動に相談にのり、最適なPBSプランを提案して下さいます。本当に、なんていい先生なんでしょう!ボランティアの勉強会なのに。。。ここまでやっていただけるとは、想像もしていなかったので、感激です!!(@_@)
Joe先生、一年間、本当にありがとうございました!<m(__)m>