カナダ発！
"たんぽっぽ"
自閉症療育支援の～と
Autism Resources
① 薬物療法
Medication Therapies
■オキシトシン Oxytocin
▲詳細は･･･「自閉症の原因・体内環境要因・オキシトシン不足」参考▲
金沢大学医学部子どものこころの発達研究センター・浜松医科大学・大阪大学などとの共同研究で、自閉症や広汎性発達障害（PDP）、アスペルガー症候群、ADHD（注意欠陥多動性障害）、LDの患者に対して有効性が注目されているオキシトシン点鼻薬。
＊改善例１
３歳時に自閉症と診断された重度の知能障害がある２０代男性。両親が、２００８年６月から朝夕２回、患者にオキシトシン点鼻薬の使用を開始。服用前は他者と目を合わせず、話しかけてもおうむ返しの反応しかできず、意思疎通が困難だった患者が、使用から１、２カ月後、視線を合わせて笑うようになったり、「よく眠れたか」の問いに「うん」と答えることができるようになったり、症状が改善。ＩＱテストも受けられるように。その後も、男性の両親は薬の使用を続け、効果が１５カ月維持されていることを確認。（知能が高い自閉症者への効果が確認されていたオキシトシンが、重度の知能障害者へも改善が認められたのは世界初）
＊その他の改善例
⇒ オキシトシン使用報告 - 金沢大学子どものこころの発達研究センター
このように、重度の自閉症患者がこれまでできなかったコミュニケーションを取れるようになったのは大きな進歩ですが、まだ安全性（リスク）がしっかりと確認されていないこともあり、自閉症の治療薬として日本の薬事法で認められていないのです。母乳分泌用を海外から個人的に輸入するしかないのですが、個人輸入のサイトを見ると･･･
・Syntocinon （オキシトシン点鼻薬） - 海外サプリメント通販
・シントシノン点鼻薬 （オキシトシン） 40iu - くすり屋さん
と、たったの５mlが日本円で4000円もするので、経済的にもまだまだ現実的な治療方法とは言えないようです。
【関連/引用/参考サイト】
・北國新聞
■セロトニン/ノルアドレナリン/ドーパミン Serotonin/Noradrenaline/Dopamine
この３つは、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質と言われ、人の心と関係し、重要な働きをする物質です。
▲詳細は･･･「自閉症の原因・体内環境要因・セロトニン/ノルアドレナリン/ドーパミン不足」を参考▲
セロトニン
「自閉症」に見られるセロトニン調節機能の異常に起因する症状の改善のために、さまざまな薬が研究されていますが、「自閉症」に関連する遺伝子は複数あり、「遺伝子がどのようにセロトニンの異常につながっていくか」は不明。今後の研究課題とされています。
Clomipramine(Anafranil)・Fluvoxamine(Luvox)・Fluoxetine(Prozac)
繰り返し行動の回数と激しさを減らし、いらいら、かんしゃく、攻撃的な行動なども軽減する
ことが認められました。一部の子供達はアイコンタクトと外部への反応にも改善がみられました。
Clozapine(Clozaril)・Rresperidone(Resperdal)・Olanzapine(Zyprexa)・Qutiapine(Seroquel)
過去35年にわたり、精神薬理学における自閉症の分野で最も研究されてきた抗精神病薬。
精神分裂病の治療の為に開発された薬ですが、多動、反復常動的行動、引きこもり、
攻撃的行動など自閉症にみられる症状を軽減する効果があることが知られています。
FDAで認可されており、また、Rresperidoneのみは自閉症の大人への投薬の管理された
実験において検査されています。
Ritalin・Adderall・Dexedine
ADHDの子供の多動に対して使われる興奮薬で、自閉症の子供にも処方されています。
あまり多くの研究はなされていませんが、これらは特に高機能児の場合の集中力の改善、
衝動性や多動の軽減に効果がもたらす可能性があります。行動面での副作用は投薬量に
関係するので、投薬量を注意深くモニターする必要があります。
Elavil・Wellbutrin・Ativan・Xanaxなどその他の薬
まだそれほどの研究がなされていませんが、同様の行動の治療に効果をもつ可能性が
あると言われています。
ノルアドレナリン・ドーパミン
自閉症は、セトロニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌異常と関係があります。
投薬としては、従来の中枢神経刺激剤・塩酸メチルフェニデート徐放製剤（コンサータ®）に加え、AD/HD用の治療薬として、2009年6月、アトモキセチン製剤（ストラテラ®）が発売になりました。アトモキセチンはノルアドレナリン再取り込み阻害薬というもので、脳（特に前頭前野）のノルアドレナリン、ドーパミンの濃度を高める作用があります。これにより実行機能や遂行機能への改善が期待され、不注意、衝動性、多動性などの症状に対して効果を発揮します。これまでの塩酸メチルフェニデートでは脳内の線条体や側坐核のドーパミンの濃度も上昇していましたが、それらの上昇がないことにより、塩酸メチルフェニデートで言われるような、チックの増悪や依存性形成などのリスクが低いという特徴があります。
【関連/引用/参考サイト】
・共同通信
・[PDF] 自閉症 - 浜松医科大学精神科
■ メラトニン Melatonin
体内で自然に分泌されるホルモンで、トリプトファンといわれるアミノ酸から作られています。このホルモンは身体の日周期リズムを調節し、睡眠、覚醒、更に生殖サイクルまでをコントロールする作用があるので、海外旅行の時差ボケ解消などに良く使われています。
睡眠障害は、一般に多くの自閉症児に見られる症状ですが、サクラメントのカルフォルニア・デービス保健大学の精神障害研究所Beth L.Goodlin-Jones博士らが、睡眠障害がメラトニンを摂取する事により大幅に改善する事を発見。臨床医学誌 Journal of Clinical Sleep Medicine（April 15, 2009.）に報告しました。不眠症を有する2-15歳の自閉症児に対して、睡眠に入る前に3mgのメラトニンを、4週間投与したところ、メラトニン投与中には夜間の睡眠時間やその質が大幅に改善する事が明らかになったのです。特に、夜間平均睡眠時間がメラトニン服用中には21分間も延長し、眠るまでの時間が28分間短くなってぐっすり眠れるようになりました。更に目覚めも良くなって、覚醒する時間も42分早くなることが明らかになったそうです。
⇒The Efficacy of Melatonin for Sleep Problems in Children with Autism, Fragile X Syndrome, or Autism and Fragile X Syndrome (Journal of Clinical Sleep Medicine)
カナダ・BC州子供病院のJim Jann博士とHillary Esposel看護婦も「メラトニン錠剤は多くの家族が闘う睡眠不全に大きな助けとなり、子ども患者が抱える他の問題も和らげるようである。」と、カナダCBCテレビ ナチュラル･マガジンで答えている。感染率が低くなり、てんかん発作も少なくなり、問題行動が減ったとのことです。⇒A randomized, placebo-controlled trial of controlled release melatonin treatment of delayed sleep phase syndrome and impaired sleep maintenance in children with neurodevelopmental disabilities (Wiley Online Library)
今のところ、これと言った副作用は見られていない事から、今後このような障害を持つ子供の不眠症の改善に有用と考えられています。
【関連/引用/参考サイト】
・[PDF]More evidence that melatonin aids sleep - Autism Research
・メラトニンは、自閉症の子供の睡眠を改善する - Dr.ハセの健康情報
■低用量ナルトレキソン LDN＝Low-Dose Naltrexone
本来、人間の身体に備わっている自己免疫力や抗癌作用を増強させ、癌や自己免疫疾患などを治療する医薬品として開発されました。1985年、ニューヨークのBernard Bihari医師は少量のナルトレキソンがHIV患者の免疫反応性を高めることを発見以来研究が進み、その後、各種のガン、自己免疫疾患、中枢神経系疾患など普通の治療では効果がなかった450例の難病患者にＬＤＮ療法を行ったところ、６０％以上に効果的だと報告されました。
ナルトレキソンが高用量（50～300ｍｇ/1日）で投与される場合、オピオイドとオピオイド受容体の結合を24～72時間程持続してブロックするため、麻薬やアルコール依存症などの依存症の治療薬として効果があります。一方、10分の1以下の低用量（1.5～4.5ｍｇ/1日）を投与した場合、オピオイドとオピオイド受容体の結合は4～7時間しかブロックできないので、一時的にブロックされた状況を代償するために、癌細胞を死滅させる内因性オピオイド（下垂体のベータ・エンドルフィンと副腎のメチオニン・エンケファリン）が増加して、オピオイド受容体を活性化させます。特にベータ・エンドルフィンは2～3倍に増大し、平均20～24時間効果が持続。それと同時に、免疫を高めるリンパ球NK細胞、キラーT細胞も増加し、自己治癒力が高まり、さまざまな難病（癌・•繊維筋痛症・•多発性硬化症•筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン症•不妊症•子宮内膜症・月経前症候群•クローン病•過敏性腸症候群•慢性疲労症候群•HIV・AIDS•SLE・皮膚筋炎•慢性間接リュウマチ•乾癬•類天疱瘡）疾患因子を攻撃、抑制させるのです。
1990代には、「自閉症」は免疫疾患が原因ではないか。。。と考える専門家が、自閉症児に（5～50ｍｇ/1日）の量で試したところ、低用量の方がより良い結果をもたらすことを発見（苦い味とカプセルの飲込みに困難なため、高用量投与は困難）。その後、2005年にイギリスの医師 Dr. Jaquelyn McCandless が午前9～12時の間に3mgのナルトレキソンを15人の自閉症児に8週間投与したところ、8人の子ども改善が見られたと発表。
1984年には
アメリカ食品医薬品局-(FDA; Food and Drug Administration）の認可を受け、「自閉症」意外の治療には長年使われてきている薬なので、アレルギーや副作用（嘔気、嘔吐、倦怠感など）がなく、比較的安全と言われていますが、人によっては、稀に服用し始めた頃に軽い不眠や鮮明な夢を見ることがあります。北米では、医師の処方もなくインターネットでも入手できるものですが、当然ながら、医療機関を受診して、本人にあった用量を確認する必要があります。、日本国内では製造販売されていないため、医師が北米の調剤薬局へ依頼し入手する必要があります。保険適応外療法なので、自費診療。
【関連/引用/参考サイト】
・尾崎クリニック（大阪）
・上野クリニック（熊本）
・渋谷塚田クリニック（東京）
・統合医療赤坂AAクリニック（東京）
・Low-dose naltrexone effects on plasma chemistries and clinical symptoms in autism: a double-blind, placebo-controlled study- National Center for Biotechnology Information, U.S. National Library of Medicine
・Are there effective medicines for treating core autism symptoms?-Autism Speaks
・低用量ナルトレキソン(Low Dose Naltrexone) - 銀座東京クリニック
・The Low Dose Naltrexone Homepage
・Low Dose Naltrexone (LDN) - Autism Canada Foundation
■グルタチオン GSH=Glutathione
有毒金属などの毒素から体を守るのに必要なグルタチオンが発達障害の子供には不足していることが多いと言われています。自閉症においてはNMDA受容体（グルタミン酸受容体の一種。記憶や学習、また脳虚血などに深く関わる受容体。）に機能異常があり、その原因としてグルタミン酸放出過程の欠陥が原因のひとつとして挙げられています。
実は、グルタチオンは、危険な抗生物質などではなく、わずかですが、私達の体内で生産されています。牛レバー、豚バラ肉、カキ、いわし、トマト、ほうれん草、精白米、ヒトの母乳などにも含まれているのですが、野菜などに含まれる量は少なく、熱や水に弱く、煮たり焼いたりして調理すると壊れてしまうので、食
キレート剤よりマイルドな方法で水銀を解毒する方法はないか･･･と世界中でいろいろな研究がされていますが、グルタチオンも、その効果を期待されて使われています。グルタチオンは日本薬局方に収載された医薬品。健康や美容の維持に有効なサプリメントとして販売されていて、容易に入手は可能ですが、経口投与や皮膚に塗るタイプでは効果が見えないため、アメリカでは静脈注射を行なうDAN!ドクターも出てきました。中にはグルタチオンで肝臓の調子が良くなる子もいますが、多くの場合、効果が無く、副作用に苦しんでいます。
グルタチオンなどのチオル基は水銀にくっつきやすく、水銀をかき回すので、水銀中毒の症状は悪化し、水銀の排出を増加させることはありません。体内でグルタチオンが少なくなると、体が反応して自然にを合成するので、システインが正常か、正常範囲より高いこどもの場合、グルタチオン治療はおすすめしません。血漿中のシステインが低い子にのみ、グルタチオンを増やす手だては認められますが、中にはグルタチオンを受け付けないことはあります。発達に遅れのある子にグルタチオンの静脈注射を行なう場合、必ず医療設備のあるところで実施することが大切です。
【関連/引用/参考サイト】
・水銀と感受性の高い自閉症児たちに関する新たな科学と新たな洞察（原文訳）－EWGレポートの紹介－（化学物質問題市民研究会）2005/1/18掲載
■セクレチン Secretin
セクレチンは小腸で作られるホルモンで、消化を助ける役目をします。1996年に自閉症児の内視鏡検査の為にこのホルモンを投与したところ、症状に改善がみられました。他のケースでも保護者や専門家が自閉症の子供にセクレチンを試したところ、睡眠パターン、アイコンタクト、言語能力、機敏さなどに同様の改善が見られたとのことで、注目を浴びました。
しかし、その後、多くの専門家が行った研究では、セクレチンを与えられなかった子供と比較して自閉症の主な症状の明らかな改善はみられませんでした。1998年、プリンストン大学のClarence E. Schutt氏は、National Alliance for Autism Researchにて、「セクレチンを療法として利用している家族は、その可能性に期待していると思うが、通常は脳内にない成分なので、今後も自閉症の原因の謎を解明するひとつのカギになることはあっても、治療法になることはないだろう。」と発表しています。
⇒[PDF]Secretin and Autism - Princeton University
【関連/引用/参考サイト】
・医療否定は患者にとって幸せか - 分け入つても分け入つても本の山
・生物医学的療法と食餌療法の概要 - 世界の訓練グッズカタログ
・[PDF]Secretin and Autism - Princeton University
・Intravenous secretin for autism spectrum disorders (ASD)-National Center for Biotechnology Information, U.S. National Library of Medicine
・[PDF]要旨(PDF) - 国立精神・神経センター
■漢方 Chinese Medicine
心理的な要因で種々の精神症状や身体症状が現れる「心身症」や「神経症」は、漢方においては、「気」の流れが停滞して起ると考えられています。その「気」を調整・強化する各種の「気剤（漢方）」は豊富にあり、種々の「心身症」や「神経症」に効果的に多用されています。
東京調布にある飯田医院では自閉症の漢方治療にとても好評で、家族による効果評価は、80名(3～38才)の中で、50％以上改善したと記入したものが、睡眠障害が100％、多動が89％、パニックが78％、自傷88％、突然の暴力90％、聞き分け83％、コミュニケーション81％、会話能力60％、集団参加79％等だそうです。
もちろん全ての障害を取り除けるという訳ではないですし、漢方が万能であるわけではありません。自閉症の漢方治療の発見12年目で、まだ医学の世界で広く認められてはいませんが、二次的な問題としての感情障害や、多動症や注意欠損症の症状が漢方で改善した症例を経験し、その治療の輪が広がりつつあります。今後障害児および家族の方がよりスムーズな日常生活を送る可能性を見出す選択肢の中の１つとして、通常の投薬治療では改善されなかった部分が、漢方で道が開けるケースがあるかもしれません。
【関連/引用/参考サイト】
