2007年からICT(情報通信技術)を活用して読み書きにバリアのある障害児の高等教育を支援する「DO−IT Japan」プロジェクトを実施してき た日本マイクロソフトと東京大学先端科学技術研究センターが、新たに東芝の協力を得て10月からタブレット端末を活用したプロジェクト「DO−IT School(ドゥー・イット・スクール)」を実施する。
10月から16年3月まで行われる同プロジェクトは、発達障害や視覚障害などで文字が見えない、読めない、書けないなど通常の学習環境で学ぶのが難 しい障害児に、音声読み上げ機能や入力デバイスなど個々の障害特性に合わせた適切な合理的配慮を研究するもので、特別支援学校などの教員や教育委員会など を対象に実証実験への協力者を募集する。
協力者には、マイクロソフトなどが開発した障害児にも使いやすい日本語入力ソフトなどを標準搭載した東 芝の最新Windowsタブレット「dynabook Tab」を無償提供する。また、肢体障害向けプログラムでは、マイクロソフトのジェスチャーコント ローラーKinect for Windows と、ソフトウエア OAK(Observation and Access with Kinect)が 無償提供される。
実施されるプログラムは、発達障害など主に読み書きのハンディ解消を対象にしたアクセシブル テスティ ング プログラムと、肢体障害など意思伝達やコミュニケーションのハンディ解消を対象にしたOAKプログラムの二つ。募集数は、各プログラム最大10例ず つ。応募締め切りは、14年9月22日(当日消印有効)。詳細な応募要項、応募用紙は8月末から専用ウェブサイトで公開される。
日本マイクロソフト本社オフィスで公開模擬試験が行われた4日は、発達障害や学習障害のある中学1年生 4人がディスプレーに表示された試験問題を見ながらキーボードで回答を打ち込んでいた=写真。このうちディスレクシア(読字障害)のある女子は、問題文を Windows8標準搭載の読み上げ機能ナレーターのはるかを聞きながら、タブレット端末のピンチイン・ピンチアウトジェスチャーで画面の拡大縮小を繰り 返して回答を入力していた。
日本マイクロソフト業務執行役員最高技術責任者の加治佐俊一さんは、試験に有効なツールとして、表示さ れたIMEの漢字変換候補をテキスト保存できるLime(ライム)や、当日無償公開された設定した学年で習う漢字しか表示されないキッズIMEスイッチな どを実演紹介した。
東京大学先端科学技術センター教授の中邑賢龍さんは「特に高等学校レベルでは入試でのパソコン使用に難 色を示す学校が多い。昨年、障害者差別解消法が成立し、16年4月から施行される。また今年1月には、日本も国際障害者権利条を約を批准しており、合理的 配慮の義務化は教育現場にも大きな影響をもたらすだろう」と説明した。【岩下恭士】
【News Source:2014.8.5 毎日新聞】
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