就職活動に苦戦する発達障害の大学生を、在学中から卒業後まで包括的に支援するプログラムがこの春、京都で始まった。発達障害は外見では分かりにくいこと などから支援が進んでいないが、人間関係が築けなかったり自分に適した就職活動の方法が見つけられなかったりして、学業や就職に失敗する割合が高いのが現 実だ。京都でのプログラムは全国的にも先端の取り組みで、利用者は「必要なスキルを身に着け、自分に合った働き先を見つけたい」と意気込んでいる。
発達障害者の就労を支援する企業「エンカレッジ」(大阪市西区)が4月、京都市下京区に支援事業所「エンカレッジ京都」を開設し、就労トレーニング を始めた。コミュニケーションや仕事体験などの講習会▽企業へのインターン▽就職活動講座▽個別進路相談−−など、同社が2012年3月から順次進めてき た学生や卒業生向けの事業を組み合わせ、包括的な支援態勢を築いた。大学の担当者向け研修も実施する。
同社によると、発達障害がある人の割合を3%と仮定した場合、毎年1万3000人が大学など高等教育機 関に進学すると推計される。同社の親会社などが12年に実施したアンケート(259大学・短大が回答)では、発達障害のある学生は身体障害に比べ、休学・ 退学率は約3倍、就職率は約5割で、学業や就職活動につまずいている実態が浮かんだ。
自分に合った勉強法が見つからず学業不振に陥る▽コミュニケーションが苦手で人間関係が築けない▽面接でうまく話せず就職活動に失敗する−−などの事例があり、就職後に退職するケースも多い。特性を踏まえた支援態勢の確立が急務となっていた。
エンカレッジ京都に通う川野竜太郎(りょうたろう)さん(24)は立命館大を卒業後、専門学校で中国語 を2年間学んだが、人間関係を築くのが苦手で就職できなかった。「話しかける前に考え過ぎないようにすると、自分から声をかけられるようになってきた。長 続きする仕事に就きたい」と手応えを感じている。理系の大学院を修了した男性(25)は就職活動に失敗し、医師から発達障害と診断された。「アルバイト経 験もなく、働くということを今はイメージできない。ビジネスマナーや仕事上のやり取りなどを学びたい」と言い、将来は研究経験を生かした検査系の就職を目 指す。
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