私の息子「あっくん」は自閉症です。【JAPAN】

先日、自閉症・発達障害に関する啓発サイト「きょうのあっくん」というサイトを立ち上げました。「あっくん」とは現在6歳になる私の息子の愛称です。

 

「あっくん」は自閉症です。正確には「自閉傾向の広汎性発達障害」という診断が下っています。息子を育てていく上で、私は今まで知ることのなかった様々なことを知ることになりました。転機が訪れたのは2012年。息子が4歳の時でした。

言葉が遅い息子は近所の幼稚園への入園を断られ、様々な相談所、施設を点々としておりました。しかしこの時点ではまだ私たち夫婦共々「そのうち追いついてくるだろう」と楽天的に考えており、障害を疑うことはありませんでした。

 

その後、市の療育施設への入園が決まり、数ヶ月。施設の先生に「息子さんは自閉傾向の広汎性発達障害である」と告げられました。

 

その時点においても私は「自閉」も「広汎性発達障害」も何もかも、全くわかっておりませんでした。正直、その場で理解出来たのはその時先生が仰っていた「得意不得意のデコボコが激しい。そしてそれは一生埋まることはない」という言葉だけでした。

思えばそれに至るまで、「自閉症」「発達障害」という言葉は数限りなく聞いてきたはずです。しかし、それについてくわしく調べるということはしてこ なかった。けして差別とかそういうことではなく、無色透明なものとして「まったく気にしてこなかった」というのが正直なところです。

 

しかし、息子が発達障害であるということがわかってからは、事態が一変しました。自分が知らなければ息子はこれからどうなっていくかわからない。本を買い込みネットを巡り、色々な情報を得ました。

 

調べてみると、色々なことがわかります。自閉症とは「言葉の遅れ」「物や動作へのこだわり」「コミュニケーションの障害」などの特徴が見られる発達障害の一種であり、息子にはそのどれもが当てはまります。


「ママ」という言葉は結構早めに出てきたけれど「パパ」が出てきたのは3歳を過ぎてから。同じオモチャで朝から晩まで遊ぶけれど、友達と一緒には遊ぼうとしない。そういった特徴的な行動の原因は、ほぼ全て発達障害によるものだったのです。

 

息子を育てる上で今まで見逃していたことが、それらの情報により「見える」ようになりました。知識というものは、見えづらいものに光を当ててくれます。

療育施設での生活にも慣れ、家族全員以前よりは落ち着いた時間を過ごせるようになりました。しかし、そうやって余裕が出来ると「今はこれで良いかもしれない。ではこれから先はどうだろう?」と考えるようになりました。

 

私が「きょうのあっくん」というサイトを立ち上げた理由も、まさにそこ......将来に対する不安でした。

 

昔の私のように、発達障害と関わりのない場合、それが何かを理解している人はそれほど多くはないでしょう。むしろ、そういった障害者に対し恐怖や不安を感じている場合もあるでしょうし、差別的な目を向けて虐待することだってあるかもしれません。

サイトを通じて「自閉症や発達障害ってこんなカンジだよ」と言うことを伝えていけば、「意外と普通だな」とか「ここはずいぶん違う」「ちょっと変わってるけど面白い」等々、身近な存在として感じてもらえるのではないか、と思ったのです。

私は、長くマンガやイラストで仕事をしており、自宅にいることが多いです。そのため普段の息子の様子をより多く目にする機会に恵まれていますし、何 よりそれを「マンガ」というメディアを使い、わかりやすく周りの人に伝えることが出来ます。「描くしかない」。そう思いました。

 

息子に対する私や妻のように、寄り添う存在が少しでも増えてくれれば。そんな期待を込めて、このサイトを作りました。

 

「知る」ことが、対象である障害者だけでなく、皆様の豊かな人生に繋がることも信じて、サイトの更新を続けていこうと思っています。すでに見ていただいた方も、まだの方も、ぜひ当サイト「きょうのあっくん」をよろしくお願いします。

 

2014.4.11 TheHuffingtonPost