県中学・高校英語弁論大会:僕は「自閉症の僕」と闘い続けます【高知】

「これからも僕は、『自閉症の僕』と闘い続けます」−−。高知西高1年の宇田周平さん(15)=高知市=が4日、市内で行われた県中学・高校英語弁論大会(県教育文化祭運営協議会、土佐教育研究会、県高校教育研究会、毎日新聞高知支局主催)の高校スピーチの部で優勝した。テーマは「ドリーム」。障がいと向き合い「普通の人になりたい」という夢に向かって努力し続けてきた経験や思いを、5分半のスピーチに込めた。宇田さんは、県代表として12月の四国大会(高松市)に臨み、全国大会を目指す。

兵庫県西脇市で3人きょうだいの末っ子に生まれた。2人の姉の英語教材で一緒に遊ぶのが好きで、2歳の頃には「アイムホーム(ただいま)」など簡単な英語を話せた一方、日本語は3歳になっても「わかった」「いやだ」「がんばるよ」の三つだけ。「多動で片時も目を離せなかった」と母佐由利さん(53)は言う。4歳で自閉症と診断された。

 

幼稚園は授業時間が短かった公立を選び、特別支援学級に通ったが「特別支援学級は4人しかいなくて寂しかった。みんなと一緒がよかった」と機会を見て普通学級へ。大きな音に恐怖を感じてしまうためピアノやお遊戯の時間には耳をふさいでうずくまることもあったが、それでも多くの友達と時間を過ごすことを選んだ。

 

だからこそ「小学校も、みんなと同じがいい」と公立の小学校を強く希望、塾に通って勉強した。大好きな英語の勉強を「ご褒美」にして、苦手な国語と算数から学習する。机に向かって3分で飽きていた学習時間は、卒園間際には3時間まで伸び、5歳の時には英検5級に合格した。「『特別』じゃない『普通』になるということが、僕にはとってもスペシャルなんです」

 

努力は実を結び、小学校は念願の公立に入学。小3の秋に父の転勤に伴い高知市に引っ越してからも、障がいを理解してくれる友達に囲まれ、順調な学校生活を送れた。

 

2013.11.7. 毎日新聞