13年度県立 特別支援学校3282人に急増 教室不足深刻に【兵庫】

兵庫県立の特別支援学校に通う知的障害の児童・生徒数が2013年度、19校で3282人に上り、県教育委員会が7年前に公表した推計を千人以上も上回っていることが分かった。国立、市立を含めた県内全体では4千人を超える。肢体不自由の児童・生徒数は横ばいだが、知的障害は増加傾向が続き、教室不足は深刻。仮設校舎などで対応する学校もある。

 

県教委によると、県立の特別支援学校(小・中・高等部)に通う知的障害者は04年度、1979人だったが、12年度に3千人を突破。13年度は04年度の約1・7倍に増えた。

 

06年度に出した推計では「13年度にピークの2150人」としていたが、その見通しを大幅に上回っている。

 

国立、市立を含めた県内27校では13年度、初めて4千人を超えた。軽度の知的障害がある児童・生徒のニーズが高まっており、今後も増加傾向は続くとみられる。

 

特別支援学校の小・中学部は定員がなく、希望者は入学できるため、学校や教室の不足は深刻だ。

 

芦屋、西宮市を通学区域とし、10年に開校した県立芦屋特別支援学校は、神戸市の要望で東灘区東部の児童・生徒を受け入れる予定だったが、余裕がなく、実現できていない。

 

開設4年の神戸市立青陽須磨支援学校は教室が足りず、今冬、仮設校舎の建設に着手。県内では、同市立青陽西養護学校など複数の学校ですでに仮設校舎が建設されている。

 

県教委は来年度、県立こやの里特別支援学校(伊丹市)の分教室を猪名川高校(猪名川町)内に設置し、姫路市内には新設校を開く。

 

県教委は、学校の整備方針や新しい推計を盛り込んだ「県特別支援教育第2次推進計画」(14~18年度)を本年度中に策定。「必要な学校整備は進める」とするが、財源の問題などもあり、すぐに現状を改善することは難しいとみられる。

 

兵庫教育大大学院の宇野宏幸教授は児童・生徒の増加の理由について「きめ細かな教育へのニーズが高まっている」と分析。「過密化を解消するため、軽度の障害の子どもを地域の学校で受け入れる仕組みや、支援体制の充実が課題」と指摘している。

 

2013.10.21 神戸新聞