米国ジョージ・カルロ博士がアイルランドのダブリンの会議で研究発表
□子供に携帯電話を持たせて危険にさらすな
「子供に携帯電話を持たせる親はまともじゃないし、脳腫瘍から自閉症まで様々な健康障害の危険に自分の子供を曝すようなものだ」と、アイルランドの首都ダブリンで開かれた会議で、米国のジョージ・カルロ博士が警告した。カルロ博士の研究によると、携帯電話から出る高周波電磁波(radio
wave)は、携帯電話を使う人の細胞にダメージを与える。この結果は2月26日のダブリン会議で発表した。カルロ博士が行なった研究は、3月に論文として発表されるが、携帯電話や中継基地局から出る電磁波は子供の自閉症と関係があるとしている。
□12歳未満は特にいけない
カルロ博士が親たちに強く求めたのは、12歳未満の子供は特にDNAや細胞膜が傷つきやすいので、使わせないようにということだ。カルロ博士はワシントン市にあるNPO組織「科学・公共政策研究所」の代表で、米国携帯電話産業連盟から携帯電話の健康影響を調査研究するため、1993年に2千万ユーロ(約30億円)を提供され、調査研究をした人だ。そして6年間にわたって調査研究した結果、彼と世界中の研究者200人が下した結論は、携帯電話会社は携帯電話の危険性を人々に警告する必要があることだった。
□アイルランド環境医師連合の会議で発表
2007年2月26日のダブリンの会議は、アイルランド環境医師連合の会議だった。カルロ博士の研究所が2002年から開始した、健康影響を受けていると訴えている人を記録したオンライン・データべース数は、最初の6ヵ月間だけで百万件以上で訴えた人の数は30万人以上であると、彼はこの会議で明らかにした。
[携帯電話被害の特徴について]
携帯電話問題ではじめに訴える症状は、携帯電話を使うことによる頭痛や不眠である。しかし、2年以上経つと、携帯電話中継基地局周辺住民からの苦情の90%以上は、病気の訴えに変わる。現在、世界で24億人の人々が携帯電話を使っており、その数はさらに増加する傾向にある。「何が問題かというと、無線技術をいまさら使わないといった後戻りができないことだ。携帯電話や無線LANを使えば、電磁波のバックグラウンド量は増加するし、学校に無線LANを設置するような愚かな選択をすれば、電磁波量が増加するのは当たり前だ」と、カルロ博士は警告を発した。そして、「私たちは中継基地局やアンテナを建てるのでなく、光ファイバー用の基地局を造ることで、健康被害を少なくするよう政府や携帯電話会社に要求すべきだ」と、カルロ博士は訴えた。
カルロ博士は、人々が携帯電話電磁波の危険性を直接感じる体験をすることが大事ではないかと訴える。どういうことをするかと言うと、携帯電話が電磁波を多く出す状態だと携帯電話の画面に“アンテナ”が3本建つが、画面に1本の“アンテナ”しか建たないような基地局にきわめて近い場所にまず立つ。次にその電話と中継基地局の間に人を一列に立たせる。そうすると、画面の“アンテナ”が2本、3本と増えてくる。それは間に人がいると交信する上で邪魔なのでそれだけ強いマイクロ波が携帯電話から発信されるからだ。こうすることで、携帯電話電磁波の強さを目で実感できるようになると、カルロ博士は説明した。
[基地局のため聴力損失になる]
また、家の近くに携帯電話中継基地局ができると、聴力損失・音が聞こえる・不眠になるという訴えをする人が何十人も出てくる、ということが会議で報告された。ジョン・カミンズさんが語ったのは、彼と妻のブリジットが実際に基地局周辺に住んでいて、二人とも聴力損失になり、娘のレベッカも12歳の時に脳発作を患った。しかし、医者はなにが原因か説明できなかった。「夜になると鼓膜がぶんぶん鳴る。家から離れると音はしなくなる。中継基地局の周辺の3つの通りで20人以上が過去4~5年のうちにがんになり、3人のうち2人が多発性硬化症(MS)で1人がパーキンソン病に罹った」とジョンは語った。
<電磁波問題市民研究会のコメント>
アイルランドの首都ダブリンで開催された「アイルランド環境医師連合」の会議で講演したジョージ・カルロ(George Carlo)氏は面白い経歴の人物だ。1990年代前半では携帯電話産業連盟から多額の援助金を得て、「携帯電話は安全」という論や研究を彼の研究所(無線研究所)は出していた。それがモトローラ社とこじれてから一変して「携帯電話の電磁波は危険」という見解に変わった。現在の彼の研究所「科学・公共政策研究所」は活発に活動し、多くの会員を獲得している。
【引用:電磁波研会報・第45号】
【関連サイト】
・21 Senses 参考資料提供:Paul Doyon 九州大学助教授
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