スマホで知的障害者支援 ソフトバンク、国内携帯業界で初めて 【JAPAN】

国内の携帯電話業界では初めてとなるスマートフォン(高機能携帯電話)を活用した知的障害者向けのサービスに、ソフトバンクモバイルが乗り出すことが3日、分かった。開始時期やサービスの詳細は未定だが、早ければ今秋にもスタートさせる方向。知的障害者の日常生活を支援するとともに、使いやすくて役立つサービスを幅広い利用者に提供することで、ユーザーへの優しさを重視する企業ブランド確立につなげたい考えだ。

サービスは専用端末「アシストフォン(仮称)」での提供を検討している。簡単に操作できるように、大きな文字を使う専用のメニュー画面を採用するほか、カメラや衛星利用測位システム(GPS)センサーなども搭載。

 

拡張現実(AR)技術を応用したナビゲーション機能や、家族などがスマホ利用者の行動を把握できる「行動判定機能」も備える方向だ。

 

「ARナビゲーション機能」は、スマホのカメラで映し出した実際の風景に目的地の方向を示す矢印を組み合わせ、スマホを手にした利用者の動きに合わせながらカーナビゲーションのように矢印で誘導する仕組み。画面には刻々と変化する目的地までの距離も表示される。

 

目的地は事前に登録された施設や地図情報から選択するなどの方法で設定し、利用者の現在地をGPSセンサーで認識することで道案内を行う。

 

行動判定機能では、利用者が予定している行動エリアや所要時間をあらかじめスマホに設定。利用者が道に迷ったり、電車で目的の駅を乗り過ごしてしまうといったトラブルでエリア外に出てしまった場合、家族などが事前に登録したアドレス宛に自動的にメールが送られるなどの方法で異状を知らせる。

設定した時間を過ぎても目的地に到着しない場合も、同様にメールなどで通知される。

 

ソフトバンクモバイルは現在、知的障害者を雇用する企業やNPO法人(特定非営利活動法人)などと共同で実証試験に取り組んでおり、バッテリーの消費量の大きさなどが課題の一つとなっている。試験結果を踏まえながら問題点の解消や機能改善を図り、安全な使い方の工夫も凝らした上で、早ければ今秋の実用化を目指す。

 

また、将来的には知的障害者だけでなく、子供や高齢者に対するサービスとして応用することも視野に入れ、研究・開発に取り組むという。

 

2013.6.4 SankeiBiz