自閉症の子どもは、他の子どもよりも単純な動きを素早く捉えることを、新たな小規模研究が示した。自閉症者が雑音や明るい光に強く反応する理由が、動きに対する極端な敏感さによって説明できると考えられ、自閉症に関連する複雑な社会的・行動的問題の一部にもこのことが関連している可能性があると、研究グループは述べている。
研究の筆頭著者の1人である米ロチェスター大学(ニューヨーク州)助教授のDuje Tadin氏は、「自閉症の子どもは社会的交流に葛藤を生じることが多いため、自閉症は社会性障害と考えられるが、見落としがちなのは、人が身の回りのことを知るとき、そのほとんどを知覚により捉えているという点である。ものの見え方や聞こえ方に異常があると、社会的コミュニケーションに大きな影響を及ぼすことがある」と述べている。
今回の研究は、8~17歳の自閉症の子ども20人および定型発達の子ども26人を対象に実施された。全被験者に、白と黒の棒が動くビデオクリップを見せ、どのくらい素早く動きを感知できるかを評価した。全体として、自閉症の子どもはその他の子どもの2倍の早さで動きを捉えることができた。最も成績の低かった自閉症の子どもの検知スピードは、自閉症でない子どもの平均とほぼ同等だった。
これまでの研究から、自閉症者は静止画を見る視覚能力が高いことが明らかにされていたが、動きの感知にも優れることが示されたのは今回の研究が初めてという。研究結果は、「Journal of Neuroscience」5月8日号に掲載された。
研究のもう1人の筆頭著者で米エール大学小児研究センター(コネチカット州)博士研究員のJennifer Foss-Feig氏は、「動きを知覚する能力が劇的に高いのは、刺激の強度が増すにつれて自閉症者の脳の反応が高まり続けることを示唆するものである。これを有利な能力であると考えることもできるが、神経反応が適切なレベルで止まらないと、感覚への過負荷につながる可能性がある」と述べている。
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