発達障害などの障害がある子どもが適切な支援を受けられるよう、和歌山県田辺市とその周辺自治体、福祉施設などでつくる「西牟婁圏域自立支援協議会」は、保護者が子どもの成長を記録する「発達支援ファイル」を100部作成した。希望者に配布しており、協議会は「子どもの発達の支援にファイルを利用してもらいたい」と話している。
「発達支援ファイル」は、生後1カ月から高校3年生までの成長の様子を記録する。赤ちゃんの頃は、おなかがすいた時や機嫌が良い悪い時のサインなどを記し、就学後は生活・行動面、学習面、家庭での様子など各年齢に分けて様子を書き込む。
成長過程で集中できず落ち着きがない、コミュニケーションがうまくできないなど発達障害の懸念がある子を持つ保護者らに記録してもらい、進学時や社会に出る場合、支援を受ける場合などに役立ててもらいたいという。
協議会の管内は田辺、みなべ、上富田、白浜、すさみの5市町。田辺市高雄1丁目の市民総合センター内にある障害児・者相談支援センター「ゆめふる」が協議会の事務局を務め、ファイルを配布している。
「ゆめふる」には発達障害に関する相談が増えている。基幹相談支援センター等機能強化事業担当の龍田俊夫さん(42)は「障害児の保護者の中には幼稚園、小学校、中学校、高校の入学の際、子どもの特性について何度も同じ説明をしなければならないケースが多い。記録したファイルを見せれば子どもに対する理解が進むだろうし、支援を受ける足掛かりになる。社会に出る時に役立ててほしい」と話す。
協議会会長で田辺市障害福祉室の梶垣吉良室長は「来年度以降もファイルを作っていきたい。ファイルの使用が定着するように取り組みたい」という。
文部科学省の調査によると、公立小中学校の通常学級には、発達障害のある児童生徒が6・5%在籍していると推定される。このうち発達障害の可能性があっても学校で特に支援を受けていない児童生徒は約4割に上ると推定されている。
発達支援ファイルについての問い合わせは、ゆめふる(0739・26・4923)へ。
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