佐賀市三瀬村の観光牧場「どんぐり村」(片渕賢司園長)が24日、開園25周年を迎えた。三瀬村の観光資源として福岡都市圏からの観光客を集めるとともに、知的障害者の就労支援も担ってきた。ただ、レジャーの多様化とともに来場者数の減少に歯止めがかからず、集客力アップへ新たな魅力づくりに奮闘している。
「どんぐり村」は1988年4月24日、食品メーカー「ヨコオ」(鳥栖市)がフランスの農村をイメージして“開村”。85万平方メートルの敷地で牛馬やヤギ、ウサギなど約20種類の小動物と触れ合ったり、パンやバター作りを体験できる。農園やホテルを備え、延べ808万人が来場した。
一貫しているのは、乳搾りや動物との触れ合いなど体験型イベントを通し、命や自然の大切さを伝えること。大規模娯楽施設とは一線を画し、観覧車やジェットコースターなどは造らず、キャラクターショーもない。
知的障害者の就労支援を2005年度からスタートし、16人が農園清掃などを担った。11年には経営主体が社会福祉法人に移るなど、観光資源であるとともに、障害者就労支援の性格を強めている。
軽度の知的障害がある大石幹沙さん(20)は3年前からパン工房のレジを担当。当初は人見知りな性格から客の応対に戸惑うこともあったが、「今は落ち着いた接客ができるようになり、自信がついた」と胸をはる。現在は障害者57人が働く喜びを感じている。
課題は来場者数の減少。開園当初は約60万人だったが、年々減り続け2000年度には30万人を割った。15年目の02年度から5年間、平日を入場無料にしたが効果は限定的で、10年度に20万人を切り、12年度は17万4287人と当初の3割まで落ち込んだ。
赤字にはなっていないものの、経営の安定や働く障害者の待遇改善のためにも、集客増が必要となる。
平日に団体客を呼び込もうと4月に大手旅行会社と契約。どんぐり村を組み込んだ旅行企画で誘客をはかる。5月の連休明けにも、園で作った乳製品やみつせ鶏のネット販売を始める。片渕園長は「お客様と障害者のつながる場にしたい」と述べ、まずは「年間18万人」目標に、もてなしの心を磨いていく。
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