東日本大震災で被災した発達障害や身体障害を抱える人々とその家族が、避難生活を送る上での難しさなどを描いたドキュメンタリー映画「逃げ遅れる人々」が30日、八王子市東町のクリエイトホールで公開される。飯田基晴監督は「災害時には障害が普段以上のハンデとなる。地域の人々と障害者が良好な関係を作り、支えあっていくことの大切さを伝えたい」と話す。
「発達障害がある娘を避難所に連れて行くと周りに迷惑がかかるため、(福島県南相馬市の自宅が)緊急時避難準備区域に指定されても家に残った」「避難先の(相模原市内の)家のトイレでは、電動車いすで入れず、使用できない」
映画には、被災した障害者10人が出演、困難な避難生活の実態を訴えている。脳梗塞の後遺症で左半身にまひが残る女性は、避難先の小学校にベッドがない中、「車いすにのったまま2週間ほど過ごし、横になれず、全く眠ることができなかった」と涙ながらに話していた。
飯田監督が、映画を撮影したのは2011年7月。学生時代に障害者の介助ボランティアをした経験があり、知人がスタッフを務める支援団体「東北関東大震災障害者救援本部」から、障害者ならではの震災時の苦悩を伝えてほしいとの依頼を受けたのがきっかけだ。
その後、約半年間、福島県南相馬市や岩手県宮古市などに通い、障害者の声を集めた。同じ避難所で暮らしていた人から「障害者なんだから、もう家に戻ってください」と心ない言葉をかけられたり、停電でマンションのエレベーターが動かなくなり、車いすで外出出来なくなったりするなど、様々な生活の困難を抱える障害者の訴えをカメラに収めてきた。
上映は午後6時半から。定員は約200人、入場料は1000円(要予約)。上映後は、福島県いわき市で被災し、相模原市内で避難生活を送る男性を招いたトークイベントも開催。問い合わせは、東北関東大震災障害者救援本部(042・631・6620)。
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