求刑超え一審判決破棄 発達障害の殺人罪被告を減刑【大阪】

大阪市平野区の自宅で姉(当時46)を刺殺したとして、殺人罪に問われた無職大東一広(おおひがしかずひろ)被告(42)の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。松尾昭一(しょういち)裁判長は、発達障害を理由に検察側の求刑(懲役16年)を上回る懲役20年とした一審・大阪地裁の裁判員裁判の判決を破棄。「犯行の動機に障害が大きく影響しており、責任を軽くする事情ととらえるべきだ」として、懲役14年を言い渡した。

昨年7月の一審判決は、被告を発達障害の一種のアスペルガー症候群と認定。「障害に対応できる受け皿が社会になく、再犯の恐れが強い。許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序の維持につながる」と指摘。これに対し、日本社会福祉士会や日本弁護士連合会などから「障害への無理解と偏見に基づく判決だ」などとする抗議声明が相次いでいた。

一審判決によると、被告は小学5年生ごろから不登校となり、自宅に引きこもっていたが、姉に自立を迫られたことを「報復」と受け止めて殺害を計画。2011年7月、自宅で姉を包丁で刺して殺害した。

弁護側は05年施行の発達障害者支援法に基づき、国が発達障害者の教育や就労を支援している点を挙げ、「受け皿はある。一審判決は障害者を差別し、平等原則を定めた憲法に反する」と主張。一方、検察側は量刑について「裁判所にしかるべき判断を求める」としていた。

 

20103.2.26 朝日新聞