中国で捨て子年間10万人、障害・経済的理由で【中国】

経済成長を続ける中国では、1年間になんと10万人もの子どもたちが親から捨てられている実態があります。中国社会が抱える影の側面を取材しました。

広東省広州市にある児童養護施設。この施設は親から捨てられた子どもが対象で、およそ800人が生活しています。こうした子どもの数は年間およそ10万人。およそ250人の日本と比べると、400倍に上ります。なぜ、中国ではこんなにも多くの子どもが捨てられるのでしょうか?養護施設の副院長に聞くと・・・

「この子は健康なのですが、手がありません。だからここに預けられたのです」(広州市社会児童福利院 黄方副院長)

施設によりますと、ここに住む子どもほぼ全員に何らかの障害があるといいます。中国では一人っ子政策が実施されているため、一つの家庭に1人の子どもを育てることができるわけですが、経済力のないことや子どもに障害があること自体を理由に子どもを捨てていく親が少なくないのだといいます。中国の家庭で今、何が起きているのでしょうか?

「障害のある子どもが生まれると経済的に大変ですし、精神的負担も大きい。家庭によっては、子どもを捨てるのは仕方がないことなのです」(広州市社会児童福利院 黄方副院長)

障害や人権に対する意識の違いでしょうか。ただ、広州市のこの施設では障害のある子どもたちがリハビリするための設備を充実させています。もし、将来、自立するのが難しければ、成人してから60歳まで生活し続けることも可能です。

しかし、ここよりも貧しい地域では、公的なセーフティーネットからこぼれ落ちる子どもたちもいました。年明け早々の1月4日、中国・河南省の家で火事が起きました。今もまだ、そのときの焦げた跡が一部に残っています。この火事でこの家に住んでいた子ども7人が死亡しました。ここは親から捨てられた子を預かる施設でした。1人の女性がボランティアでこれまでに100人以上を育ててきたといいます。死亡したのは生後7か月~20歳までの7人。この施設の子どもたちにも全員に障害がありました。火事の原因は子どもの火遊びだったといいます。

中国政府は、0~14歳の障害のある児童の数は2012年の時点でおよそ1000万人とみています。ですが、地方では公的な児童養護施設の整備がまだまだ進んでいないというのが現実です。経済の発展とともに、中国がこうした実態や障害のある人に対する意識をどう高めるか・・・中国が抱える影の中に、今も早急な対応を必要としている人たちがいます。

 

2013.2.19 TBSNews