ホームレス、背景には孤立や障害も 【福岡】

生活困窮者の自立支援施設「抱樸(ぼく)館」(福岡市)の青木康二館長が11日、佐賀市立図書館で講演した。ホームレスに陥る背景には失業だけでなく、表面に見えにくい障害や孤立の問題が潜んでいることを強調した。

 

青木さんは同館利用者の6割に知的障害や精神疾患があることを紹介。軽度のため本人が自覚しておらず、周囲も気付きにくいという。日本の福祉制度は訪問支援ではなく、申請主義のため「本当に必要とする人がこぼれ落ちている」と生活保護と同じ構造的問題があることを指摘した。

さらに同館利用者の全員が単身という点に着目。家庭崩壊で一人暮らしをせざるを得ない若者や独居中高年のホームレスが増えており、「不況による失職や低年金で困窮した時、孤立して頼る人がいないと野宿に追い込まれてしまう。不幸は誰にも起こりうる。支持者や仲間がいる“ホーム”を取り戻すため、まず相談を」と語った。  講演はグリーンコープ生協さがの主催。市民ら約40人が耳を傾けた。

 

2013.1.14 佐賀新聞