福祉事業所を利用する障害者らの力を生かし、廃棄された携帯電話からレアメタル(希少金属)などを回収する事業が今月、伊勢原市で始まった。地域作業所では、届けられた携帯電話を役割分担しながら分解、分別する作業が行われている。作業所の関係者は「恒常的に請け負う仕事が減っているだけに、工賃アップにもつながる」と期待している。
20~60代の知的障害者39人が通所する地域作業所「ドリーム」(同市桜台)では9日から作業がスタート。市環境美化センターから届けられた携帯電話を男女9人が手分けして拭き、ペンチや解体専用のドライバーを使って端末を分解。電池やプラスチック、電子回路基板など約15種類に分別する作業を行っている。
始まったばかりだが、作業する際は適した手袋を使用。端末のアンテナを外したり、分解した部品を使用済み牛乳パックでつくった分別用の箱に入れたりして、手際よく作業を進めている。
分解作業を担当していた男性は「ネジに合ったドライバーを見つけて外す作業が難しいけれど、分解していくのが楽しい」と充実感を漂わせる。
ドリームでは現在、鈴の組み立てや老人ホームの清掃、衣料商品のタグ付けなどの仕事を請け負っている。豊田眞知子所長は「受注する仕事には時期によって波があり、恒常的に請け負う仕事も減っている。通所者の平均的な工賃は月4千円程度。工賃のアップにつなげるためにも今回の事業が安定的な仕事になればうれしい」と話している。
今回の事業は、4月に施行される小型家電リサイクル法を受け、環境と福祉を融合させようと県が考案した「かながわモデル」第1号。市内の地域作業所3カ所で作業を行い、リサイクル事業者に引き渡す。
市は「売却に十分な資源を得るには、より多くの小型家電を回収する必要がある」(経済環境部)として、家庭に眠っている不用な携帯電話やデジタルカメラ、携帯型ゲーム機などの回収を促進するため、今月中に市役所などにボックスを設置する。
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