障害者の福祉施設などで作られた商品が、注目を集めている。スイーツ、ワイン、化粧品……。良質なものが多く、一般的に価格も手頃だ。購入することで、障害者の経済的な自立にも貢献できる。
福祉施設の中には、障害者の働く力を養う目的で、様々な生産活動を行っているところがある。就労支援施設と呼ばれ、かつては、福祉関係のバザーなどで製品を販売するのが一般的だったが、近年、障害者の自立志向の高まりを受け、一般市場で売れる製品の開発に力を入れる施設が急増している。障害者を主戦力として多数雇用する企業もある。
*自前工場でスイーツ
菓子づくりを行っている知的障害者の就労支援施設は多いが、中でも、「富岳の園」(静岡県御殿場市)のバウムクーヘン「富士山バウム」は、高い人気を誇る。就労支援施設の商品の通販サイト「真心絶品」で、過去約3年間、販売数と売上額の総合ランキングが常時3位以内。リピーターも多いという。
地元産の小麦粉と卵を使い、施設の敷地内にある菓子製造工場で、専用のオーブンを使って焼きあげる。甘すぎず、しっとりとした食感が楽しめる。
*本格国産ワイン
知的障害者が主戦力となって働く有限会社「ココ・ファーム・ワイナリー」(栃木県足利市)のオススメは、赤ワイン「2011農民ロッソ」。昨年秋に収穫した長野県や山形県などの国産ブドウだけを使い、10か月間熟成させた。軽い口当たりで、適度な酸味と樽(たる)の風味を楽しめる。
同社のワインは、28都道府県のスーパーや酒店など277店のほか、同社のウェブサイト(http://cocowineshop.com/)でも販売。19都道府県のレストランや居酒屋など189店で飲むこともできる。
*女性に人気
洗顔・ボディーせっけん「やさしいせおと」は、知的障害者らを多数雇用するせっけんメーカー「ねば塾」(長野県佐久市)の一押し品だ。大豆油、菜種油など4種類のオイルで作った無添加せっけんで、泡立ちが抜群に良い。通販サイト「森のクラフト屋」(http://www.shonai.ne.jp/morikura/)でも買える。同社のせっけんは、美容の総合サイト「@cosme」(アットコスメ)を通じ、口コミで使用者が急増中だ。
スキンクリーム「パール美珠(びじゅ)」は、就労支援施設「パールハイム」(長崎県大村市)の身体障害者らが製造にかかわっている。アコヤガイの貝殻の粉末とツバキ油が原料で、肌にハリとつやを与え、乾燥を防いでくれる。
*こだわりの額縁
新潟県産のキリを使った額縁「やすらぎの桐」を作っているのは就労支援施設「ワークセンター北陽」(新潟県長岡市)。木のぬくもりと高級感が特徴だ。同県産のスギを使った額縁「くつろぎの杉」もある。サイズの希望にも応じてくれる。
専門通販サイト厳選品紹介
障害者が作った商品を専門に扱う通販サイトもある。日本財団(東京都港区)などが運営する「真心絶品」(http://magokoro-zeppin.com/)では、全国の施設から寄せられた商品を、品質や価格、デザインなどの観点から審査。厳選した約150点を紹介している。
担当の村上智則さんは「年々、優れた商品が増えてきている。就労支援施設の場合、運営費の大半が公費で賄われているので、その分、商品価格が安くなる傾向がある」と話す。
このほか、障害者の支援活動を行っているNPO法人トゥギャザー(大阪市)も、通販サイト「とっと」(http://tot.shop-pro.jp/)を運営し、約80点を紹介している。
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