師匠の技を伝心、張籠制作 伏見の自閉症男性が二人展【京都】

言葉に頼らないコミュニケーションで、石川さん(右)の指導をうける小笠原さん=京都市下京区
言葉に頼らないコミュニケーションで、石川さん(右)の指導をうける小笠原さん=京都市下京区

自閉症で知的障害がある京都市伏見区醍醐の男性が長年、職人の指導を受けながら竹籠に和紙を張り重ねた「張籠(はりかご)」の制作を続けている。作業ペースはゆっくりだが作品の質は高く、師匠の作品と一緒に同区の市呉竹文化センターで「張籠二人展」と題して展示されている。

 

男性は小笠原優さん(41)。外出支援ヘルパーで張籠職人の石川裕二さん(59)=大津市藤尾奥町=と2005年に出会い、現在は下京区の工房で月に2日指導を受けている。

張籠は、竹で編んだ籠に和紙を張り重ねた籠で、多くは柿渋や漆を塗り込む。小笠原さんは言葉を発するのに苦労することが多く、和紙にのりを付けたり漆を塗る作業など、石川さんが示す手の動きをまねながら着実に技を身に付けた。

 

これまで7年間に小笠原さんが作った作品は十数点だが、石川さんは「言葉に頼らないコミュニケーションを通じて技術を高めてくれた。創作への姿勢も熱心で作品も上出来」と評価する。

 

同センターには、小笠原さんがこの3年間で仕上げた6点など2人の作品計12点が並ぶ。20日まで(毎週火曜休館)。午前10時~午後7時。無料。

 

2012.12.5 京都新聞