横浜市は、障害者が無料で市内の路線バスや市営地下鉄などを利用できる「福祉パス」を有料化する方針を打ち出した。条例制定を経て、来年10月実施を想定する。ただし、利用者への意見募集では、6割が見直しに理解を示したものの、反対も根強い。市は利用者や市民の意見を踏まえ、最終的な方針を決める。
市は障害者の外出支援制度の見直しを検討しており、福祉パス有料化はその一環。福祉パスは、障害者の社会参加を促すため、軽度を除く70歳未満に無料で交付している。06年度の交付は3万9889枚だったが、今年度は5万1786枚に増えた。うつ病と診断された精神障害者による申請の増加が要因で、今年度は事業費約27億円を計上した。
市の見直し案は、利用者に年間3200円を負担してもらう一方、交付範囲を市内に約7800人いる軽度の知的障害者にまで拡大する内容。市の10年の調査では、交付を受けた人の4割以上は月5日以内の利用にとどまっており、有料化によって利用していない人の辞退を促して事業費を抑制すると同時に、交付を適正化する狙いという。
市は見直し案について6〜8月、利用者へダイレクトメールを送ったり、一般市民への意見公募などで、計4140人から回答を得た。利用者2056人からの回答は「理解できる」が60・6%、「理解できない」が37・4%。ただし、自由記載の意見欄では、反対が664件で、賛成355件を大きく上回った。「有料化反対」「負担は困る」という意見が目立った。
また、市は障害者の外出に付き添う市民に奨励金を支払うガイドボランティア制度についても見直し案を提示した。これまで最大1900円としていた奨励金を一律500円に引き下げ、適用範囲を拡大する。障害者に身近な地域の人々によるボランティア参加を促す狙いで、来年4月実施を想定している。
これについての利用者の反応は「理解できる」が38・3%、「理解できない」が59・0%。自由意見でも「担い手が減ってしまう」といった反対意見が多く寄せられた。市障害福祉課は「市民の意見をしっかりと検討して今後の方針を決めたい」としている。
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