「学ぶ楽しさに気付いてもらえたら、一歩目としては成功です」。知的障害や発達障害がある子どもの学習を助ける携帯情報端末向けのアプリを開発している。フリーのプログラマーだ。 転機は2年前の秋。長男に続いて当時3歳の次男が自閉症の疑いがあると診断された。IT企業で深夜まで残業する日々。子育ては妻に任せきりで負い目を感じていた。そんな中、次男に携帯端末を持たせると、やり方を教えなくてもゲームで遊び始めた。「自分の技術がこの子たちの役に立つのでは」。15年続けた会社員生活をやめ、療育支援を仕事にしようと決めた。
これまで発表したアプリは3種類。「子ども静かにタイマー」(170円)は、端末に内蔵されたマイクが拾う子どもの声が一定の音量を超えると、画面上で眠る「番犬」がほえる。子どもは遊びながら、静かにしていることを覚える。騒ぎがちな長男と楽しくトレーニングしたい。そんな思いがヒントになった。
ダウンロード数は3種で計約3万件。特別支援学校などでも試験的に活用されるようになった。障害のない子どもの保護者や80代の女性ユーザーの声も届く。
以前に比べ収入は安定しないが、家族で過ごす時間は増えた。「息子たちに使ってもらいながら改良していく。バグ(不具合)もよく見つけてくれ、開発の強みですね」
【略歴】さんぐう・なおや。新潟県出身。東京都立大(現首都大学東京)大学院修了。都内の自閉症育児サークルで活動している。39歳。
ブログはhttp://blog.keaton.com/
コメントをお書きください