社会生活で何らかの支障はみられるが、知的障害を伴わない「高機能自閉症者」は、相手の視線に合わせて同じ方向に目を動かすのが苦手ということを、生理学研究所(愛知県岡崎市)の田辺宏樹助教らの研究グループが、脳の活動を調べて明らかにした。
田辺助教は「よりよい意思疎通の方法を見つけられるのではないか」と話している。研究成果は欧州科学誌の電子版に掲載された。グループは、向かい合った2人の一方の目の動きに合わせて他方が同じ方向に目線を動かす「目配せ」の実験を行い、脳の活動を特殊なカメラを装着した2台の磁気共鳴画像装置(MRI)で調べた。
その結果、高機能自閉症者は、健常者が目線を変えたうちの約7割しか同じ方向を見ることができず、視覚を担当する後頭葉で健常者よりも活動が低下していることが分かった。
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