居場所つくり 就労定着促す 成人期発達障害者支援事業【東京】

世田谷区は来月から「成人期発達障害者支援事業」を試行する。「せたがや若者サポートステーション(サポステ)」を訪れる相談者の中で、社会性やコミュニケーションに課題があり、自立につまずく若者を抽出。居場所をつくり、就労につなげていく。都精神保健・医療課の担当者は「発達障害者の自立に特化した仕組みは、都内で例がないのでは」と話している。 

国の委託を受け、若者の就労支援を行うせたがやサポステによると、なかなか就職に結び付かない人のほぼ半数に発達障害の傾向が見られる。本人に自覚のないことも多いという。

 

支援はまず、自立が難しい原因は発達障害にあると、本人に認めてもらうところから始める。発達障害者団体のメンバーが面談し、当事者同士で悩みを共有する「ピアサポート」という取り組みを通じて自覚を促す。

 

次に、区が「居場所」として確保する心身障害者施設で、働く意欲の促進や職業体験、就労定着までを支える。障害者の就労支援に実績のある「トポスの会」(足立区)のジョブコーチが常駐するほか、精神保健福祉士や心理士も定期的に相談に応じる。

 

区の療育センターなどに通う発達障害者も事業を利用できる。区は二〇一四年度末までの三カ年で、成人期の発達障害者を支援する手法を確立する。

 

<ピアサポート> 同じ課題を持つ仲間(ピア)が対等な立場で支え合うこと。周囲から理解されにくい病気や障害の当事者同士が悩みを聞き、共感することで安心感を得て、課題解決に結び付ける。

 

2012.9.8 東京新聞