もし、おなかの赤ちゃんに障害の可能性があったら...。誰もが思い悩む重いテーマだ。俳優・石田純一さん(58)の妻で、妊娠中のプロゴルファー東尾理子さん (36)が「胎児にダウン症の可能性がある」と診断されたことを6月にブログで公表した。出産を11月に控え「産むことに迷いはない」と言い切る東尾さんに、不妊治療や出生前診断への思いを聞いた。
―不妊治療による待望の妊娠だったそうですね。
「2009年12月に結婚し、子どもが欲しかったので医師に勧められたタイミング法(予測した排卵日に性交渉する方法)を試しました。それでも授からず、昨年の初めごろから(採取した精子を子宮内に入れる)人工授精を6回、さらに(精子、卵子ともに取り出して、受精させてから子宮内に戻す)体外受精に切り替え、3回目で妊娠しました」
―治療中のつらさは。
「人工授精は平気でしたが、体外受精は排卵誘発剤や抑制剤を毎日自分でおなかやお尻に注射します。おなかはぱんぱんに張って苦しく、痛みで全然動けませんでした」
―精神的には。
「大丈夫でした。できるものはできる、できないものはできない。自分でコントロールできることではなく、怒っても悲しんでも仕方がない。できることを精いっぱいやるだけでした」
―3月、妊娠検査薬で陽性と出た結果を直後にブログで公表しました。流産の恐れがまだ残る時期でしたが。
「実は、流産は15~20%と高い確率で起きるという事実や、初期の流産は母体の責任ではなく受精卵の運命なのだということを、不妊治療を始めてから学びました。知らないのは普段耳にしないから。たとえ流産したとしても『ごく普通にあることだよ』と発信することに意味があると思い、どんな結果も受け止める覚悟で公表しました」
―母体から採血し、胎児の染色体異常の可能性を調べる母体血清マーカー検査(クアトロテスト)を受けましたね。なぜ検査を。
「障害の有無を確かめたかったわけではなく、いろいろある血液検査の一つとの認識でした。検査の結果、82分の1の確率で胎児にダウン症の可能性があると診断されました」
―結果を聞いてどうでしたか。
「年齢の割には高い確率との説明でしたが『この子をおろす選択肢はない。絶対に産む』と強く感じました。検査した時期はつわりで苦しいだけ。でも結果が出たころには胎動も始まり、母になる自覚ができました。どんな赤ちゃんでも幸せ。一緒に暮らしていこうと。(障害の有無が分かる確度が高い)羊水検査は考えませんでした」
―6月にブログで結果を公表しました。批判もあったようですが。
「障害は特別なことではないし、物議を醸すとは思ってもいませんでした。いろんな考えがあると勉強になりました」
▽間違った安心感
―若い人たちに伝えたいことは。
「技術の進歩で『いつでも産める』という間違った安心感が広がっていますが、高齢になれば妊娠率は下がり、流産率や障害の率は上がります。振り返ると避妊の方法は習っても、こうした事実は誰も教えてくれませんでした。仮に私が20代でこの事実を知っていたとしてもゴルフを優先していたでしょう。でも、何を犠牲にして今の人生を歩んでいるか、随分と意味が違ったはずです。時間を無駄にしないためにも、体の仕組みをしっかり理解した上で、人生設計を立ててほしいです」
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