横浜の障害者施設不当利得、３２７万円の返金命令【横浜】

知的障害者施設のグループホームに入居していた女性（26）が、預金を不当に引き出されたなどとして、ホームを運営するＮＰＯ法人「障害者フルライフサポート・ユーリカ」（横浜市泉区）に不当利得の返還を求めた訴訟の判決で、横浜地裁（沼田寛裁判官）は30日、原告の請求通り３２７万円の支払いを命じた。

女性は２００５年３月から08年10月までホームに入居し、アルバイトなどで６１０万円の収入があったが、退去時の返金額は９２７円だった。

沼田裁判官は、同法人が開示した領収書などから、女性は退去時に少なくとも50万円の返金を受けるはずだったと認定。その上で同法人が食費、光熱費とした１７６万円について「精算内容の立証がなく、法律上、被告が費用を受け取ることは認められない」と返金を命じた。

さらに、障害者年金の手続きを取っていないにもかかわらず、女性に申請したことを告げたとし「年金を受け取れない状況をつくった不法行為があり、受け取るべき年金など85万円の損害が発生した」とした。

同法人は、利用者の預金約２千万円が使途不明になったことが問題となり、11年６月、県の指定障害福祉サービス事業者の指定を取り消された。同法人の元副理事長（60）は業務上横領罪で起訴され、横浜地裁で公判中。

【2012.8.31　カナロコ】