発達障害の一つ「自閉症」の伊豆市在住の男性(19)が、自らの体験や困難に直面した時の対応策を描いた漫画を冊子にまとめた。発達障害の当事者本人による提案やアドバイスがあふれ、教育関係者や発達障害児の親らの注目を集めている。
冊子のタイトルは「詩音くんのスキルアップ・コミック」。A4判、155ページ。男性はペンネーム「詩音(しおん)」と名乗り、現在は同市内の一般の事業所で働いている。
冊子に収録した漫画は、三島市立北中特別支援学級に通っていたころから描きためた2000枚以上の作品の一部という。絵を描くことが好きで、ほぼ毎日、中学校で学んだ対人マナーや社会ルールの内容をコマ割りの漫画にして描いた。
「友達と交わす会話の声の大きさ」「テストの受け方」「電車やバスを利用する時のマナー」など学校や日常生活の約50の場面を捉え、フィクションを交えてストーリーを仕立てた。「いじめにあったら」「友達の大切な物を壊してしまったら」などトラブル遭遇時の行動をパターン分けして描いた「別れ道漫画」も盛り込んだ。
冊子作製のきっかけは、当時の担任教諭だった三島市東本町の柳詰けい子さん(63)らの勧め。「後輩の参考に残そう」と今春にまとめた。自閉症は個人差が大きいものの、対人コミュニケーションや相手の気持ちを読むことを苦手とし、予測外の出来事に大きなストレスを感じる傾向にある。柳詰さんは「障害を理解する上でも参考になる冊子に仕上がった」と話した。
冊子は1冊1200円(送料80円)。問い合わせは柳詰さん〈電・FAX055(975)8084〉へ。
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