人とのコミュニケーションが苦手なアスペルガー症候群と診断された篠山鳳鳴高校3年の野口裕妃さん(18)=兵庫県篠山市糯ケ坪=が歌手を目指して活動している。イベントに出演する際は「アスペルガーシンガー きらら」と名乗って障害について説明し、「1人でも多くの人に理解者になってもらえれば」との願いを歌に込める。
アスペルガー症候群は発達障害の一種。野口さんの場合、音や光に敏感で、にぎやかな場所に疲れてしまう。また、人の表情を読み取ることが難しく、状況に応じた振る舞いができないという。
高校2年生の時に診断を受け、「それまで感じてきたしんどさの理由が分かった」。興味が変わりやすい、集団行動から外れてしまう、授業でタイミングのずれた質問をする…。思い当たることはたくさんあった。見た目はごく“普通”に見えるため障害があるとは思われず、誤解されやすいのが今も悩みだという。
3歳からピアノや電子オルガンを習い、中学1年生で歌を始めて安らぎを見いだした。「音楽は自分らしくいられる唯一の時間」。精神的につらい時に作詞や作曲をする。「今歌えるのはみんながいつもそばにいてくれたから」。歌詞にはストレートな感情をつづってきた。
卒業後は音楽の専門学校に通うことが決まっている野口さん。「同じ障害で悩んでいる人のためにも発信を続けていきたい」と活動に情熱を傾ける。
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