障害ある子 就職へ「塾」 【愛知県】

学齢期から社会人へのスムーズな移行をめざし、愛知県刈谷市新栄町のNPO法人「くるくる」は今年度から、障害のある中高生を対象にしたビジネスマナーやスキルアップのトレーニングを始めた。企業などで働く準備をするため、知的障害のある約25人が訓練に励んでいる。

「確認をお願いします」「はい、お疲れさまでした」「ありがとうございます」
「くるくる」が運営する作業施設には、平日の午後4時を過ぎると、特別支援学校などから中高生が通ってくる。

 

職場を想定し、仕事内容を確認したあと、朝礼にあたる「はじまりの会」で、自分の目標を発表する。作業中は指導者の指示に従って行動し、コミュニケーションの取り方などを訓練する。

 

障害があっても地域で自分らしく働くことができるようなシステムをつくろうと、「くるくる」は今年4月、学齢期トレーニングセンター「J―くる」を開設した。特別支援学校などを卒業し企業へ就職した人たちの中には、勤め先での人間関係がうまくいかなかったり、職場環境になじめなかったりして、辞めてしまうケースが目立つからだ。
「くるくる」は、2008年から障害者自立支援法に従い、就労移行支援事業に取り組んできた。「J―くる」ではそのノウハウを生かし、中学、高校の時から、「あいさつをする」「わからないことを相手に伝える」「仕事が終わったことを報告する」「自分の作業に責任を持つ」「他の人と仲良くする」といった社会人として必要なことを教える。

 

現在、刈谷市や安城市などの中学1年~高校3年の約25人が登録。部活動や習い事がない日を選び、週1、2日、センターへ自力で通い、約2時間のトレーニングを受ける。作業体験のほか、パソコンを使った文書入力やスキルアップの講座などのメニューが用意されている。訓練を通して仕事の適性を見極めるヒントにもなるという。

 

学齢期支援部の中井啓介さん(33)は「イメージとしては就職のための塾や専門学校に近い。卒業する前からできる就労支援の仕組みをつくっていきたい」と話す。

 

中高生向けの就労準備事業は県内でも珍しく、来年度は安城市内にもセンターを開設する予定だ。問い合わせは「くるくる」(0566・28・7496)。

 

2012.8.8 朝日デジタル