横浜の小学校で発達障害児がいじめ被害、学校の対応遅れ転校 【神奈川】

横浜市金沢区に住んでいた市立小学校6年の発達障害の男子児童(11)が、同級生から暴行など継続的ないじめを受けていたことが12日、分かった。保護者は4月から数回、学校側にいじめ被害を訴えていたが、学校側が認めたのは5月末。被害児は6月に1週間のけがを負い、転校した。学校側は「認識が浅く、いじめに気付くのが遅れた」と釈明している。

被害児の保護者や同校によると、普通学級に通学していた高機能自閉症の被害児は4月以降、同じクラスの男児3人から、学校内や下校途中に障害児を意味する「ガイジ」というあだ名で呼ばれたり、蹴るなどの暴力を振るわれたりするいじめを継続的に受けた。

泥まみれで血を流して帰宅したこともあったという。

被害児はいじめを隠したが、自宅で壁に頭をぶつけたり、「死にたい」とカッターを手首に当てたりとたびたびパニックを起こした。知人から「いじめに遭っているのでは」と聞いたこともあり、母親が4月下旬、学校側に相談。担任教諭らは男児3人に事情を聴いた。その上で担任らは「仲良しグループで暴言は互いに言い合った」「一方的な暴力はあったが(加害児を)指導した」などと保護者に説明し、いじめを否定したという。だが、その後もいじめは続いたという。

6月1日の下校途中には、被害児は両膝や肩などに1週間のけがを負った。保護者によると、この3人のうち2人に路上で押し倒され、蹴られるなどしたという。保護者は「安心して通えない」と同4日、市教育委員会に転校を申し出た。手続きが素早く進まなかったため、自ら住民票を区外に移し、同8日に転校した。被害児は今もパニックに陥るなど不安定という。

校長は「4月の担任による指導で解決したと考えていた」と、5月末になっていじめと認識したと釈明。「発達障害への理解も不十分だった」と説明する。一方で6月の暴行については、男児2人は「やっていない」と話しているという。

校長らは6月末、保護者らに謝罪。今後、実態把握を進めるとともに、6年生の保護者向け説明会を開く予定で、再発防止に努めるという。

 

2012.7.13 カナロコ