発達障害、森の中で自助力育成 【北海道】

帯広の市民団体「自然にいいこと、再出発。カンナ・カンナ」は、帯広の森で発達障害当事者などを対象に、「森の中のオリバ(居り場)」事業に取り組んでいる。当事者同士が自然と関わりながら支え合い、自助の力を育む活動を目指している。

カンナ・カンナは、事務局の三浦潤一さん(37)が中心となり、帯広の森で森づくりを進めている。三浦さん自身も昨年7月に、広汎性発達障害と診断され、社会に病気を理解されない苦しみや職場のストレスがたまったときに、森に癒やされた経験を持つ。

 三浦さんが立ち上げた当事者グループ「発達ひろば」や、若者の自立を支援する「おびひろ地域若者サポートステーション」の利用者に呼び掛け、「森の中のオリバ」と題して5月から帯広の森を拠点に毎月1回、10人ほどの少人数で活動を始めた。過去の2回はいずれも雨天で隣接する「はぐくーむ」に移動している。

 今月は14日午後1時から同3時まで、森の空間をステージに見立てて、絵本セラピストの資格を持つ岡原照江さん(清水町)らが大人を対象に絵本の読み聞かせを行う。メンバーの一人で中学・高校時代に引きこもりと不登校の経験を持つ佐藤和也さん(23)は「自然の中にいただけで浄化される。自己肯定感を持てない当事者も多いので、活動を通じて元気になるきっかけを持ちたい」とし、三浦さんは「共感できる仲間の存在は重要。当事者が活動し、生きやすい社会をつくっていきたい」と話している。

 

2012.7.13 十勝毎日新聞