普通学級の教員の約半数が発達障害のある子どもの指導に悩んでいる―。県立広島大保健福祉学部(三原市)の山西葉子助教(作業療法学)の研究チームが三原市内の教員を対象にアンケートを実施。適切な教育をすることを規定した学校教育法改正から5年が過ぎる中、現場の実態が浮き彫りになった。
チームは昨年12月から2カ月間、市立小中学校の計499人に成果などを尋ね、416人(83%)から回答を得た。
特別支援教育の実践について、普通学級の教員257人のうち、小学校44%、中学校47%が「あまりしていない」と回答。「全くしていない」は小学校2%、中学校14%あり、全体でほぼ半数が、対応できていない実感を持っていることが分かった。
小学校に比べて中学校で教員の達成感が低い結果について、山西助教は、教科ごとに担当教員が変わり、子どもに関わる時間が少ないことが一因とみる。
一方、管理職では「積極的にした」「そこそこした」が小学校計83%、中学校計94%に上り、現場の感覚とギャップがあることが明らかになった。推進に向けての課題(複数回答)は「自分自身の知識不足」が小学校で68%、中学校で74%と最多だった。「支援体制の人員不足」「支援が必要な子どもが多い」もおおむね50%を超えた。
広島県教委は、校内委員会の設置や保護者、専門機関との連絡役を担うコーディネーターの設置を各校に指示している。だが山西助教はアンケート結果を受け「学校内の体制が追い付いていない。具体的な対応策を示せていないことが、教員の悩みにつながっている」と指摘する。
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