特別支援学校での経験などを基に、発達障害のメカニズムを分かりやすく解説した「発達障害と向き合う」(幻冬舎ルネッサンス新書、255ページ)を4月に出版した。広島市内では売り切れる書店も。「予想以上に反響が大きかった」と驚く一方、「保護者に『一人で悩まないで』というメッセージを伝えたい」と熱っぽく語る。
82年に広島市立中学校の教諭になった。テレビドラマのセリフ「腐ったミカンの方程式」が話題になった時代。赴任した中学でも、校内暴力や暴走族など、生徒の非行が大きな問題になっていた。家庭裁判所に少年審判の傍聴に出向くことも珍しくなかった。家裁の調査官からは「竹内先生、なんでこんなに子どもたちが荒れるんだ」と嘆かれた。解決策を探していた90年ごろ、発達障害を研究する学会の会合に出向いた。「話しても理解してもらえない」と思っていた生徒たちと発達障害が結びついた。
広島特別支援学校(中区)への異動を「強く」希望し、02年に赴任した。現在は高等部3年生の生徒を指導する。自閉症の生徒のために、教室内に仕切りとヘッドホンを用意した。別の自閉症の生徒のためには、オルガンをクラスメートの席との間に置いた。お互いの顔が見え、完全に仕切られた感はない。一人一人に合わせた環境作りは欠かせない。
発達障害の子どもの保護者は自分を責めることがある。周囲も無知から「しつけのせい」と言い、苦しみをより大きくする。そんな保護者の声を直接、聞いてきた。発達障害の正しい知識を伝えようと、筆を執った。応援の気持ちを込めて、本は次の言葉で締めくくっている。「知識のない愛は力にはならない」
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