自閉症誘発遺伝子を発見【韓国】

韓国の研究陣は、自閉症に関係する新たな遺伝子を発見し、この遺伝子の欠陥でどのように自閉症が起きるかを解明した。研究結果は英科学誌「ネイチャー」に発表された。

自閉症は全世界の人口の1%、韓国の人口の2-3%が患っており、毎年患者が増えている。自閉症患者は他人との感情的な相互作用ができず、特定の行動を繰り返す症状を示す。これまでに約10個の遺伝子が自閉症に関係していることが知られているが、発病メカニズムは正確には分かっていない。

 

 

ソウル大脳認知科学科の姜奉均(カン・ボンギュン)教授、延世大医学部の李敏九(イ・ミング)教授、KAIST(韓国科学技術院)生命科学科の金恩俊(キム・ウンジュン)教授らで構成する研究陣は今回、これまで知られている遺伝子のほかに「シャンク(Shank)2」と呼ばれる遺伝子の欠陥が自閉症を誘発する事実を、マウスによる実験で突き止めた。シャンク2遺伝子は、主に学習・記憶をつかさどる海馬にあり、神経細胞同士を結ぶ役割を担う「シャンク2タンパク質」を生成する。

 

 

研究陣はシャンク2遺伝子が働かないように遺伝子を操作したマウスの行動を観察した。その結果、マウスはほかの個体に関心を示さず、繰り返し自分のヒゲの手入れをするなど、典型的な自閉症の症状を見せた。研究陣が遺伝子に欠陥があるマウスの海馬を分析した結果、神経細胞で信号伝達に関わる部位に問題が生じ、信号伝達が大きく減少していることが確認された。

 

 

研究陣が問題の生じた脳の部位を刺激する薬物を投与したところ、マウスは正常な個体と同様にほかの個体に関心を示し、社会的な接触が改善した。

 

 

姜奉均教授は「今回の研究は、特定の遺伝子の欠陥が自閉症を引き起こすことを完全に解明したもので、今後の自閉症治療法開発に大きく役立つと期待している」と述べた。

 

 

2012.6.15 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版