障害者の就労支援を掲げて設立されたユニークな株式会社が川崎市中原区にある。その名も「ダンウェイ」。社長の高橋陽子さん(38)は人材派遣会社勤務などを経て、特定社会保険労務士として事務所も持つ、発達障害の小学3年生の子どもの母でもある。6月までに10代から50代までの障害者4人を正規雇用として送り出し、障害者が分業で作業しやすいホームページ(HP)制作ソフトを大手のインテルと協働で開発するなど徐々に成果を挙げている。
会社は昨年1月、JR南武線武蔵新城駅近くの商店街の一角に設立された。スタッフは元教師や福祉ボランティア経験者など高橋社長を含め10人。チラシづくりや清掃業務、データ入力、梱包(こんぽう)など地域の企業から受託した仕事をこなしながら、心身に障害のある人たち約30人が訓練を続けている。
人材派遣会社で培った人事・総務のノウハウを使い、障害者一人一人の得意分野や能力を客観的な指標を示し紹介できるシートを作成。一般企業とのマッチングを進めている。正規雇用になった4人のうちの10代の男性は、事務所で身体に障害のある人をいつも助けていたことから、介護施設でヘルパー補助の仕事を得たという。
HP制作ソフトづくりは、高橋さんがインテルに提案した。協働でパソコン特有の専門用語を駆使しなくても、分業で部分部分を担当し、統合すればHPがつくれるソフトで、名付けて「ICT(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)治具(じぐ)」。このソフトを使って会社としてHP制作を受託するほか、年内には市販も考えている。同ソフトを使った事業展開で8日、「かわさき起業家大賞」も受賞した。
ダンウェイの理念は教育・福祉の分野と企業とをよりスムーズにつなげ、障害者の自立と地域との共生を目指すこと。高橋さんは4月には市教育委員会の教育委員にも就任。昨秋には商店街でのイベントも展開した。「地域の支援を得ながら、障害者が地域や社会でできることを発信していきたい。そういう情報発信のモデルになれたら」と高橋さんは話している。
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