障害者らの「アール・ブリュット」
「アール・ブリュット(生(き)の芸術)」や「アウトサイダー・アート」と呼ばれる美術の分野が近年注目されている。美術教育や一般的な文化、流行の影響を受けず、自己流の方法や発想で表現された作品を指す言葉だ。具体的には、知的障害者や精神障害者、無名の老人などが作り手の多くを占めている。
「アール・ブリュット」の名付け親であり、多くの作品を発掘し収集し始めたのは、ジャン・デュビュッフェというフランスの著名なアーティストだ。1940年ごろ主にフランス、ドイツ、スイスなどを巡り、約5000点の作品を探し集めた。これらの作品はスイスのローザンヌ市が設立した「アール・ブリュット美術館」に収蔵され、今や多くのファンが世界中から訪れている。
日本でそういう作品が知られるきっかけとなったのは、93年に世田谷美術館で開催された「パラレル・ヴィジョン」展だった。海外の企画者による展覧会が日本でも巡回されたのだ。けれども実は、山下清や滋賀県の古い福祉現場から生まれた作品は、すでに存在していた。
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