障害者の財産管理などを支援する山口県の「うべ 障害者支援士業ネットワーク」が今月下旬で結成1年となる。障害者の家族らに、専門家が相続などについて助言して不安を解消する新しい取り組みで、他県からも相談が寄せられている。同ネットは「多くの人に知ってもらうために活動の幅を広げたい」としている。
同ネットは、宇部市内の弁護士や司法書士、社会保険労務士、精神保健福祉士、税理士ら専門家9人と障害者の保護者ら計11人が「親が亡くなった障害者を支えるきめ細かい支援態勢が不十分」として、昨年6月29日に結成した。
同市内の2か所の障害者福祉施設に設置した電話窓口で、相談内容によって専門家を紹介。障害のある子どもの将来を心配する親や親族らの悩みや不安の解消に努めている。
「(子どもの収入源となる)障害年金の認定基準が厳しい」
「成年後見制度について知りたい」
「新潟市内の特別支援学校の保護者らに説明したい」
今年の相談件数は5日現在で計13件。宇部、下関、山口市などのほか、取り組みを知った新潟市障がい福祉課からの電話もあった。
家庭裁判所が選ぶ成年後見人が判断能力が不十分な精神、知的障害者らの財産や金銭を管理する成年後見制度などについての問い合わせが多いという。
電話は平日(年末年始を除く)に受け付けている。相談料は原則無料だが、専門的な調査や手続きは有料となる。
同ネットは電話相談のほか、毎月第4火曜日に例会を開いて行政への政策提言を協議。障害者の税制優遇措置や成年後見制度などを分かりやすく紹介するガイドブックも作成中だ。
メンバーの1人で、自閉症の子どもがいる有田信二郎さん(62)は「障害者の親は自分が元気なうちに、準備しておきたいと思っている。子どもの権利が保障される仕組みが確立できれば安心する」と話す。
自らも障害がある社会保険労務士の藤井悌一代表(77)は「親亡き後の住居の問題など課題は多い。障害者団体との連携も深め、今後は出前講座や相談会なども企画したい」と話している。
問い合わせはNPO法人ときわ(0836・32・8923)、社会福祉法人光栄会(0836・58・2202)へ。
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