放課後児童クラブ 発達障害の専門家派遣 7月から5~10人規模【静岡】

静岡県は、近年「放課後児童クラブ」で増えている発達障害などの疑いがある子供への対応を支援するため、7月から専門家を順次派遣する方針を固めた。放課後に低学年の小学生を預かる児童クラブは基本的には市町の事業だが、人材育成の面で県も役割を担っていると判断し派遣を決めた。合わせて、障害のある子供への対応などを記したガイドブックも4月に各児童クラブなどに配布した。

県こども未来課によると、平成23年5月現在、県内には放課後児童クラブが539施設あり、うち170施設で、身体、発達障害の疑いがある子供がクラブを利用している。共働き家族の増加に合わせクラブ数も拡大。これに伴い、障害の疑いのある子供も増えており、現在は、21年に比べ26人増加し、170人いるという。

 

特に、▽他人の感情が読み取れない▽場面に応じた適切な行動がとれない▽他者とのコミュニケーションにおいて困難をきたす-などの特徴を持つ発達障害の疑いがある児童を預かる児童クラブの指導員からは、「対応が難しい」などとの相談が相次いで寄せられている。現場では、敷地から勝手に抜け出したり、窓をたたき続けるなどの問題行動も起こっている。

 

こうした声を受け、県は発達心理の専門家をアドバイザーとして派遣することを決断。現在、人数、人選を含め最終調整に入った。5~10人規模になるとみられる。専門家は希望する児童クラブに出向き、対応するための知識や技術を身につけてもらう研修を2日ずつ計3回実施。約3年かけて希望する全クラブに訪問する。ただ、発達障害の疑いがあるものの、診断が下っていない場合もあるため、「プライバシーなどを十分考慮したうえで行いたい」(同課)としている。

 

また、県は4月に全120ページからなる「放課後児童クラブガイドブック」を各児童クラブや市町に配布。新たに追加した「障害のある子どもへの対応について」の項目には、「保護者に会い、程度や種類を把握したうえで、クラブのことも理解してもらうことが大切」などと記した。

 

2012.5.23 産経ニュース