障害者トーク発信中【佐賀】

 

今月1日に開局した佐賀市のコミュニティーラジオ「えびすFM」(佐賀市白山2丁目、89・6メガヘルツ)で、障害者が出演するトーク番組「エイブル・オン・ラジオ」が放送されている。日々の暮らしの楽しみや、生活の不便さなど、障害のある人たちの目線で情報を発信している。

 

パーソナリティーを務めるのは、障害者の芸術活動を支援するNPO法人「アートフル」の副理事長小松原修さん(40)と、脳性マヒの障害があり、電動車いすで生活する北古賀雄三さん(27)。発達障害者や知的障害者らをゲストに迎え、毎週日曜日午前9時~11時、放送している。

 

第1回の放送があった6日は、車いすで過ごす日常の不便が話題になった。思うように体が動かせない北古賀さんは、車いすから便座に移る際に転落の危険があるため、トイレに入るにはサポートが必要だ。

 

小松原さん 「ひとりで外出したときに、どうしてもトイレに行きたくなったらどうするの」

 

北古賀さん 「見知らぬ人に、『ちょっとお時間良いですか』って声をかけて、『トイレを手伝ってもらえますか』といきなりお願いするんです」

 

小松原さん 「初対面の人でしょう。話しかけるのも、介助を受けるのも、こわくないの」

 

北古賀さん 「勇気いりますよ。でも、経験上、8割が手伝ってくれます」

 

20日にあった3回目の放送では、日常生活に潜む偏見に踏み込んだ。この日のゲストは電動車いすを使う女性。バス停でバスを待っていたとき、停留所で手を挙げているのに4台以上のバスが次々と通り過ぎていったという。北古賀さんは「乗るかどうか分からなければ、まず止まって『乗りますか』と確認して」と訴えた。

 

番組にはこれまで、放送を聞いたリスナーから感想や質問が届く。20日は「車いすバスケットは知っていたけれど、(番組で)車いすサッカーを初めて知りました。車いすでできる運動って案外多いんですね。知らないことを知ることが出来て楽しいです」というメッセージが紹介された。

 

番組は、養護学校教諭として障害のある子どもたちと長年関わった経験を持つ小松原さんが、福岡の障害者がDJを務めるインターネットラジオを聴き、「佐賀でも障害者が表現する場を作りたい」と始めた。「モノの見方は一辺倒じゃなくていい。障害のある人の感性や価値観をみんなで共有していきたい」と話す。

 

番組では、ラジオに出てみたい障害者を募集している。「普段聞きにくい」と思っているような質問や、出演者へのメッセージも受け付ける。電話・ファクス(0952・97・9699)、メール(896@ebisufm.com)。

 

2012.5.26 朝日新聞