先天的な脳機能の障害で心身の発達に遅れが出る「発達障害」の患者が急増している。推計では105万人にも昇るという。発達障害の中でも性格の問題と区別がつきにくく、見過ごされがちなアスペルガー症候群を含む「自閉症スペクトラム障害(ASD)」は、早期発見が難しく課題となっている。そんな中、浜松医科大学の研究チームがASDの脳のメカニズムを解明し、子ども時代にASDかどうか血液検査で簡単に調べられる方法を開発した。
NHK総合の「情報LIVE ただイマ!」という50分ほどの番組の後半の23分からの特集的な取り扱いで取り上げられた。
浜松医科大の血液検査は、8歳以下の子どもの血液中の中性脂肪に含まれる物質(VLDL超低比重リポ蛋白)の多寡によって、少ない場合にはASDの可能性があると早期判定できるというもので、5/19のカナダの学会で発表されるとのことだった。ただ、成人になってから判定できるようなものではないようだ。その幼児時に判定できることにより、「他人の心を読む」ような社会性の訓練を早くから行えるという効果を期待するということだ。人の顔を見る場合に、ASDの場合、目の周辺に視線をやる比率が「いわゆるそうでない人」(40%)に比べて圧倒的に低い(17%)というような研究結果も紹介された。治療法という段階までは研究は進んでいないようだ。その他、PET(ポジトロン断層法)による診断(上記毎日新聞の記事)も紹介された。
■過去の浜松医大の研究■
自閉症の人は他人の顔を認識する脳の部位で神経機能が低下し、「視線を合わせない」という症状や「相手の気持ちを読めない」という社会性の障害が起きることを突き止めたと、浜松医大の鈴木勝昭准教授らが7日付米専門誌に発表した。 研究チームの辻井正次中京大教授は「自閉症には親の育て方が悪いなどの間違った見方があり、差別や偏見をもたらしてきた。自閉症5 件が脳の中の障害と関係していることを明らかにする研究結果であり、自閉症5 件の人に対する理解を広げ、支援につながる」としている。 研究チームは、脳全体の活動を調節する「アセチルコリン神経」と、他人の顔を認識する「紡錘状回」という脳の部位の関係に注目。陽電子放射断層撮影(PET)で、18~28歳の20人の自閉症5 件の人のアセチルコリン神経の働きを調べた。 その結果、健康な人に比べ、紡錘状回での活動が約35%低下していることが判明。機能低下の程度が進むほど、「相手の気持ちが読めない」という症状が強くなることも分かった。 自閉症は神経発達障害で、相手と視線を合わせないという症状のために、相手の気持ちが読めなかったりする症状が出ると考えられていたが、どのようにして起きるかは不明だった。
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