県障害者権利条例(仮称)の策定に取り組む「県障害のある人もない人も暮らしやすい地域づくり県民会議」(会長・高嶺豊琉球大学教授)が、身体、知的、精神、難病、発達障がいの34団体に所属する当事者や保護者らを対象に実施した聞き取り調査で、「差別」やつらい経験をした事案が640件に上ることが20日、分かった。調査では「学童や保育園では障がいが分かると入園を断られることが多い」「バスに乗車拒否された」「親戚の冠婚葬祭には一度も呼ばれたことがない」などといった「差別」を受けた経験が寄せられている。
県民会議は、当事者、福祉関係者らで構成。同日、県庁で開かれた会合で、高嶺会長が県福祉保健部の崎山八郎部長に調査をまとめた事例集を手渡した。高嶺会長は条例案に調査を反映させるよう求め、「県民の皆さんに(障がい者の)つらい経験を知ってほしい。県が今後、県民対象に開くタウンミーティングの資料にも活用してほしい」と話した。
調査は障がい者の権利擁護を目的に、差別などの実態を把握するために昨年10月からことし1月まで実施した。障がいを理由にした差別や不利益な取り扱いなどの体験について当事者を基本に、その家族、障がい関係団体にも尋ねた。
同会議が差別などの事例を分野別に分けたところ、「生活保護の相談で行政に行ったが相手にされなかった」などといった「福祉」に関する事案が146件(22・8%)で最も多く、「建物等・公共交通機関」90件(14・1%)、「教育」80件(12・5%)、「商品販売・サービス提供」53件(8・3%)と続いた。【2012.4.21 琉球新報】
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