自閉症の少年7人の遺体解剖の結果、彼らの脳が自閉症ではない少年のものより重く、ニューロン(神経細胞)の数も多かったとする研究結果が8日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical Association、JAMA)に発表された。少人数ながら、自閉症児の脳の過成長が子宮内で起こっている可能性を示すものだと指摘している。
米国の研究者らは、2歳から16歳までの自閉症の少年7人の遺体の脳を調べた。死因は大半が溺死だが、8歳児1人は筋肉のがんで死亡し、16歳少年1人の死因は不明だ。
事故で死亡した自閉症ではない少年6人(対照群)の脳と同じ年齢で比較してみると、自閉症の少年の脳は前頭前皮質にあるニューロンの数が対照群の脳より67%多く、脳の重さも各年代の平均より18%近く重かった。
皮質ニューロンは出生後に生じることはないため、自閉症児におけるニューロンの病的な多さは出生前に起因していたことになる。研究者らは、「出生前の細胞誕生や細胞維持が不完全だったことが、自閉症の発症に関係している可能性がある」と指摘した。
前頭前皮質は、言語や意思伝達のほか、気分や注意力、社会的能力を司っている。自閉症児は通常、これらの点が得意ではない。
米ユタ大(University of
Utah)のジャネット・ラインハート(Janet
Lainhart)氏らは解説記事で、「(自閉症の人では)脳を作り上げるなんらかの要因が阻害されているようだ」と記した。
ただし今後は、こうした関連性の検証や、脳の相違が自閉症の程度にも関連しているのかなどを調べる研究が必要とされている。
今回の論文によると、脳や頭部に異常な成長が見られる生後9~18か月の時期に自閉症の兆候が現れる傾向があることが、これまでの研究で示されているという。
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