『北京かわら版』特集「中国の自閉症児たち」②

「星星雨」の活動 
全国各地、また世界各地からさまざまな寄付や支援が寄せられ、ようやく97年末、現在の施設を確保し、設備も整い始めました。98年暮れには、暖房もなかった施設でしたが、99年には、暖房のほか、訓練に必要な器具や厨房設備も設置されていました。
  

施設の職員は、田恵平女史を中心に五名の指導教員、7名のスタッフ(栄養士、コック、総務等)計12名で運営しています。
  

98年末、訪問した時は、中国全土から集まった自閉症児とその親たち、24家族が、一堂に会した指導の初日でした。カナダ・ドイツ・台湾・日本の資料を基に作成した独自のカリキュラムに則って、3ヶ月間起居を共にしながら集中した指導を受けます。この3ヶ月コースが年間、3回から4回実施されます。1名の指導教員が実際に指導できる子供は最高4名とのこと。この3ヶ月の実践を経て各自が全土に帰省したあとは、自宅で親子が訓練を続けていくのだそうです。「星星雨」の指導教員は、集中指導の成果を生かしたフォローアップのために、各家庭に半年ごとの通信教育カリキュラムを作成し、家族と連絡をとりながら長期的指導を継続していくのです。これまで施設で指導を受けた子供たちすべての膨大な記録が、個別にファイルに整理されています。

 

3ヶ月間の集中指導に係る、教育費・宿泊費・食費等は併せて1万元! 北は黒竜江省、南は広東省広州、四川省といった遠隔地から参加してくるのですから、往復旅費も考えると非常な出費となります。付き添いの親は、この間休職あるいは退職まで余儀なくされて来るため、収入が激減し、経済的に大変な負担であるのが現状です(一般に、中国では共稼ぎですから、その片親の収入が失われるうえ、昨今は国有企業改革に伴うリストラも影響を与えています)。私的非営利機関である以上、困窮した自閉症児の家庭に負担を与えられないという配慮から、「星星雨」の学費はずっと据え置かれています。

 

しかし、実際の運営に当たっては、通信費・会報の印刷代・施設の維持など、諸経費が年々かさんでいます。日本人会からの寄付は、こうした諸経費の一部に充当され役立てられてきたのですが、なお厳しい運営状況です。 一方、指導教員の定着も大きな課題になっています。3ヶ月の集中・実践教育が終われば、その指導記録や報告書作成、並行してフォローアップのための通信教育や連絡……指導時間外にも長時間を費やしてのデスクワークが、一人ひとりの教員に重労働をもたらします。折角、自閉症児の教育に愛情と情熱を持っていても、他に比べて手当を含め労働条件が劣るため、自分自身の生活を維持するためにやむなく離職する教職員も後を絶たないそうです。

 

 

「星星雨」への援助

自閉症児の家庭を取り巻く環境、施設の運営、教職員の確保、山積した問題を打開するために、田女史は「星星雨教育基金」を設立しました。この基金によって、「困窮した家庭に経済的援助を与えて適切な指導が継続できるようにする」、また、「教職員への福利厚生を充実させて定着をはかる」という両面から問題解決の糸口にしたいという主旨でした。

 

「星星雨」を訪問してみると、田女史はじめ教職員の方たちが、教育から生活に至るまであらゆる面で細やかな指導をされていることがよくわかります(99年11月にNHK衛星放送では、「アジアWho's Who」で田女史の特集番組を放映しました。彼女の暖かいまなざし、子供たちの表情とそれを見守る親たちの優しくまた真剣な面差しに、心打たれた方も多いかと思います)。

 

この数年疲れのいろを見せたことのない田女史、昨年は、知り合ってはじめて、やつれが見て取れたのが気がかりでした。恒常的財政難、スタッフの不足……いまや施設を追われることはなくなったものの、だからこそ、より安定した運営をめざして、彼女の双肩にのしかかる負担はさぞ重いことでしょう。「星星雨」、これからが正念場、だと思います。

 

今後も折に触れ、星星雨の現状を皆様にお知らせし、寄付金並びに不要となった衣類・文房具・玩具などの寄付活動へのご協力を呼びかけていければと思います。この紙面を拝借して、「星星雨」にご理解を賜り、今後とも息長いご支援のほどをよろしくお願い申しあげます。 (完)

 

「2」 2000年3月号(101号)