【BC州バンクーバー周辺情報  Metro Vancouver Info】高校~成人後の生活

 

  子どもの幸せを考えた終活準備        
  
Preparations for death focusing on child's happy life        

Representative Agreement (RA)

 

RAは、19歳以上の成年を対象にしたBC州における個別計画/事前の医療計画のための重要な法的文書のこと。知的能力が低くい場合や、終末期、およびその他のサポートが必要な場合に使用される法的強制力のある文書で、「Nidus」という非営利の慈善団体がBC州政府に10年間に及び訴えてきた活動努力によって実を結んだ「BC州の成年後見法」です。

 

このような制度があるのは、カナダでもBC州のみ。他の州にはないので、この制度の効力があるのはBC州内だけです。

 

「Nidus」は、BC州コミュニティベースの成年後見法改革に関与した「当事者・家族・関係者」といった市民によって1995年に設立されました。「成年後見法」が無事に制定された後も、「RAの普及・関係者への教育・利用者への相談支援・RAの登録管理」など、様々なサポートをしています。

 

 

BC州やRA制度がないカナダの他州の「成年後見法」では、「Enduring Power of Attorney(成年後見人の任命に関する委任状)」や「Will(遺言書)」を作成するのが一般的ですが、弁護士や公証人を雇って作成してもらうため、費用も時間もかかってしまいます。そして、何と言っても、BC州のRA制度と異なるのは、内容や目的、効力などをしっかりと理解していなければ、委任状や遺言書は作れないこと。この典型的な条件下では、先天的に知的障害がある人や、交通事故や病気の後遺症で後天的に知能が低下してしまった人は除外されてしまうことになりますよね。

 

更に、「Enduring Power of Attorney」は、ヘルス(医療)ケアやパーソナルケアについてはカバーされていないのがRAとの大きさ違いです。

 

 

一方、RA制度では、RAを作成する内容や目的、効力を理解しているかが不明な知的障害者であっても、親などの代理人が作成することが可能で、「ヘルスケア*・日常生活を支えるパーソナルケア**・法的な問題・日々の資金管理」の4つの生活分野すべてがカバーされています。

 

*ヘルスケア

・深刻でないものから深刻で命にかかわるまでの医療に関わる全てのケア(例: 手術などの治療方法、

   入院の決断、投薬の決断など)

**パーソナルケア

・住居や居住スタイル(どこに住むか、誰と住むか)
・どのような支援やサービスを受けるのか…の診断と計画
・介助者のアレンジ
・食事療法の好み
・運動
・スピリチュアルな事柄
・ペットの世話
・アクティビティーへの参加

 

 

Nidus YouTube
Nidus YouTube

 

つまり、RAを作成しておけば、(親/保護者が生存中は)親が、(親/保護者の死後は)指定された代理人が、子供に代わって「ヘルスケア・パーソナルケア・法的な問題・日々の資金管理」の4つの生活分野すべてにおいて選択を迫られた場合の決断権を行使できるのです。

 

詳しくは、(英語が理解できる方は)「Nidus」のYouTubeをご覧ください。↓↓↓

 

 

RAには、「RA7」や「RA9」など。。その人のおかれている状態によっていくつかの種類があります。「Nidus」のホームページから最適なRAを選び、必要書類をダウンロードして印刷し、書類に記載するだけでOK!書類をダウンロードするのにお金はかかりません。

 

 

RAは、どのような状況で必要になるのか…具体的に「トム・ケビン・アン」の事例でみていきます。

  

 

 

RAを作成したら、下記のページから登録することを忘れずに!

 

 

 

登録は義務ではないので、複数コピーした書類を子供に関係する所「かかりつけの医者・(通院しているなら)その医療施設・(入所しているなら)グループホーム」など。。に渡して、「RAを作成していること」を伝えておくのもいいですが、万が一渡しそびれがあった場合、新規の場所が出現した場合に厄介です。しかし、登録しておけば、関係機関はすぐに「RA作成済みか否か」を調べることができるので、登録をオススメします。初回登録料は$25で、追加登録は$10です。

 

 

RAを作成せずに親/保護者が亡くなってしまった場合、自分で意思表示ができない障害者は、世話をしている政府機関のスタッフが決定することになりますが、その選択や決断は、必ずしも当事者である障害者本人にとって最適であるとは限りませんよね。

 

 

RAを作成できるのは、19歳以上だけ。一番子供のことを知っているのは、長年世話をしてきている親/保護者なのですから、子供が成人を迎えたら、親にいつ何が起こっても、子供が安心して幸せに暮らしていけるように、RAを作成して終活準備をしましょう!